生田緑地を散策した

連休の最終日、小田急線の向ヶ丘遊園駅周辺に広がる生田緑地に出かけた。
 
以前から気になっていたのだが、緑地公園として整備される一方で、かわさき宙と緑の科学館、日本民家園、岡本太郎美術館などが設置されており、様々な催し物が開催されているようだ。
 
今回のお目当ては、日本民家園、で古民家の陰鬱な風情を肌で感じようと考えた次第だ。
 
かつては向ケ丘遊園という遊園地があったのだがずいぶん前に閉園し、現在は駅の名前にその栄華?を残すだけとなってしまった(付属のバラ園は健在)。
 
駅からテクテク歩き、緑地公園の入り口に到着、早速、日本民家園に入場する。
 
展示を一通り見て、表に出て、最初に目にするのが、圧倒的な質感の、原家、の屋敷である。
 
この地域の大金持ちの御殿である。
 
これほどしっかりした造りの個人所有の民家を見るのは、私は初めてだ。
 
三溪園などにも、趣のある木造のお屋敷が保存されているが、それとは違って、威圧的でさえある。
 
以下にその全景写真を示す。
 
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どうだ、恐れ入ったか、とい重厚さを感じる。
 
親の本家の屋敷は、西国の某所で明治期の栄華を忍ばせる民家として観光名所になっているのだが、それもかなりの質感があるが、原家の屋敷は、造りが凝っていて、しかも、木造建築の粋を凝らした、という隠された華美を感じる。
 
完成までに20年以上を要したというから、相当凝った施工だったのだろう。
 
原家の内部に上り込み、縁側に座っていると、とても穏やかな気分になり、ああ、日本建築とは日本人の心のふるさとなんだ、と強く意識させられた。
 
そんな原家の屋敷を後にして、江戸時代に作られたという、敷地内に移設された古民家を見て歩いたが、その屋敷内の暗さが、まさに日本文化、日本的なもの、なのではないかと感じた。
 
こげ茶、いや、囲炉裏やかまどでいぶされた黒色が、日本の文化の背景色なのではなかろうか。
 
個人的には、とても好きな色合いである。
 
で、展示をすべて見て歩き、最後には緑地公園の高台まで登り、展望の全く効かない、トイレの上にある展望台に上り、再び坂道を降りて、岡本太郎美術館の周辺をウロウロした。
 
お約束のように、岡本太郎らしい巨大で正体不明なオブジェが設置れていたが、私の心は少しも動かなかった、それを見ても。
 
子供たちがそのタコの足のような所に駆け上って遊んでいたが、遊具としては機能している(以下の写真)。
 
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悲しいことだが、関東ローム層の崖に埋まるように岡本太郎美術館はあるのだが、この斜面は国が実施した崖崩れの実験で、見積もりの甘さと注意喚起の不十分さで、参観者15人の命が一瞬にして奪われた場所でもあるのだ。
 
そんな悲しい過去があるとは、全く知らなかつた。
 
美術館への登り口あたりにその慰霊碑が建立されていた。
 
そんな過去に思いをいたしながら、まだ結構な人たちが遊ぶ芝の植えられた中央公園に出て、展示されているD51や客車(スハ42)を見て歩き、いよいよ帰宅の時間となった。
 
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これにて、生田緑地散策はおしまい。