美術館巡り

カレンダー通りの連休である。

最近、マスゴミと、それをコントロールしている邪悪なナショナリストたちによって、汚いものばかり見聞きさせられることに嫌気がさし、真に美しいものを求めて、美術館に出かけた。

先ずは、表参道にある根津美術館を訪れた。

表参道あたりは東京でも好きな地域で、以前から、たまにウロウロしていたが、なぜか根津美術館には入ったことがなかった、たぶん、興味ある展示品や企画展がなかったからだろう。

今回は、尾形光琳の、燕子花図屏風と紅白梅図屏風MOA美術館所蔵)を一緒に観賞できるということで行く気になったのだ。

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東京メトロ表参道駅で下車し、地上に出て、いわゆる表参道とは反対側(延長線か?)にしばらく進むと、根津美術館に行き当たる。

この美術館の特徴としては、外壁の一部が竹の生垣風にしつらえてあることと、付属する庭園の美しさ、だろうか(以下の写真)。

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ちょうどカキツバタが見頃で、赤紫の鮮烈な彩を、普段ならきっと落ち着いた雰囲気と思われる日本庭園に与えていた(以下の写真)。

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庭園には離れ的な建物があり、 カフェとして営業しており、訪問当日も、お昼だったためか、行列ができるほどの人気だった。

そんな行列を横目に見て、さっさとお目当ての屏風図へ。

展示室に、燕子花図屏風と紅白梅図屏風の二作品が隣り合って展示されていて、多くの人が群れるように、このあまりに有名な国宝を見つめていた。

一度、その群れの中に入り、流れに乗って展示室にあった作品すべてを鑑賞したが、もう一度この二作品の前に戻り、設置されていたソファに腰かけ、一時間ほど眺めて過ごした。

燕子花図屏風の方に、魅かれるものを感じ、右側の屏風絵が重で、左が軽だ、などと気ままな解釈を楽しんでいた。

で、小一時間ほどして、腰を上げ、再度、この二作品を近くで鑑賞しようと近づいたところ、なぜだか、強烈な息吹きを紅白梅図屏風に感じ、びっくりした。

急に、隣にある燕子花図屏風が枯れた、生命を感じることのできないものに見えてしまった。

なぜか、なぜだろう、この変化は。

紅白梅図屏風からは、とくに、古木の梅の木に咲く花から、匂い立つような息吹き、生命、を感得できた。

すっかり、この作品が気に入ってしまった。

カキツバタ咲く庭園を、作品を鑑賞する前に見てしまったことが、何か影響しているのだろうか、この心境の変化は。

素人にはこれ以上の陳腐な分析は不要だろう。

思い切って見に来てよかった、という思いとともに、根津美術館を後にした。

そして、次なる目的地、ブリヂストン美術館、へ移動。

銀座線の日本橋駅で下車し、地上へ。

反対側に日本橋を望み、銀座方面に向けて高島屋丸善、の前を通り、美術館へ。

この美術館は建物の立て直しのために数年閉館するらしく、自慢の収蔵品を、ベスト・オブ・ザ・ベスト、と銘打って、展示している。

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この美術館には、これまた、一度も訪れたことがなかったので、ちょうど良い機会だと思い、出かけることにした。

展覧会のタイトル通りに、西洋美術のビックネームの作品が目白押しで、美術館所蔵の名作を一堂に展示した、という内容だった。

私の好きな佐伯祐三の作品も展示してあって、とても嬉しかった。

印象派の作品を中心に、ピカソを経て、現代アートまで網羅するという手厚い内容で、来てよかったと素直に感動した。

西洋絵画の名作からは、何度もこの記事で使っている、生命の息吹き、があふれているように感じた、それも、何の躊躇もなく素直に表現しているように思えた。

その、あまりの素直さが日本画とは違うところかもしれないと、閉館間際まで展示室に置かれた革製の椅子に腰かけ、印象派の名作(モネなど)を前にして、そんな思いにとらわれた。

さすがに閉館時間(午後六時)間際の展示室に人影はほとんどなく、リラックスして作品に向かうことができた。

いい時間を過ごすことができた、という満足感で、ブリヂストン美術館を後にして、現実の世界へと戻った、とても嫌だったが。