国際化とは英語教育のことなのだ

読売オンラインより引用
 
国際社会で活躍できる人材育成のために英語教育の充実を目指す大阪府橋下徹知事が、府内の公私立高校で英語検定試験「TOEFL(トーフル)」を実施し、成績優秀だったトップ50校に計5億円の予算を配分する方針を府教委に示していることがわかった。 1校平均で1000万円になるが、上位校ほど手厚く分配する計画で、私立高校も巻き込んで公立高校との学力競争を促したい考えだ。

 橋下知事は2012年度からの導入を要請しており、府教委も検討を始めた。

 府関係者によると、府立高校全138校と私立高校全96校が対象。計画では、各校から選ばれた生徒50~100人程度にTOEFLを受験してもらい、平均点でトップ50校を決める。

 さらに50校を上位、中位、下位グループに分類し、上位グループほど予算配分が多くなるようにする。各校は配分された予算を自由に学校運営に使うことができる。
 
引用、ここまで。
 
相変わらず、学力競争を煽り続ける橋下氏である。
 
さて、この英語競争は、果たして意味があるのか?
 
高校は、すでに、学力により序列化されているのであるから、何度やっても、それを反映した結果になると予想する。
 
つまり、英語という評価軸で、学校をさらに序列化し、下位は、切り捨て、上位は優遇、という経営効率重視の考え方だろう。
 
学力差による学校序列に応じて偏向的な予算措置することには遠慮があるが、英語力、という日本人のもっとも関心がある勉強アイテムを持ち出せば、この露骨な差別が、容認されると考えたのだろう。
 
この方式でアップアップするのは中堅校の生徒と教員ではないかと予想する。
 
教員は英語対策に追われ、生徒は、むち打たれて、学校が、何とも落ち着きのない修練の場、となるのではないか。
 
橋下氏は、権力をかさに、ひとを追い立てるのが大好きなようだ。
 
英語力は試験で点数化できることから、客観的で文句のつけようがないだろうという理屈で、偏向的な教育政策を正当化できると考えたように思える。
 
橋下氏の言うところの国際化は、英語力あるいは英会話のことだと、ハッキリとした。
 
英語力を高めて、国家間の諸問題が解決できると考えているのだろうか、すこぶる安易な発想である。
 
英語ではないが、海上保安官が、流ちょうな中国語でいくら絶叫しても、中国漁船は、お構いなしに、日本の領海に侵入するのだ。
 
英語を磨く前に、日本語をきちんと習得させ、日本文学に親しむように教え導くことが、教育のあるべき姿だと私は考える。
 
中身が空っぽで、妙に英語だけがうまい、スカスカな人間を多産しても、国際理解にはつながらない。
 
たまに国際学会で、プレゼンの英語だけ流ちょうで、後の質疑応答が、全く出来ない者がいるが、あれなど英語バカのなれの果てだろう。
 
外国で育ち、国籍だけが日本人の者や、日本文学や日本文化に親しむより、外国語の習得が大好きな連中に、通訳は任せておけばいいのだ。