ケン・ロビンソン「学校教育は創造性を殺してしまっている」 その1

遅い夕食を摂り、テレビをつけたら、ちょうどケン・ロビンソンの超有名なTEDトークをやっていました。
 
とても感銘を受けたトークです、ぜひ、紹介したいと思いました。
 
タイトルのTEDトークの日本語訳を、2つに分けて転載します。
 
ケン・ロビンソン卿の教育に関する考え方にはとても共感を覚えます。
 
教育を、ある種の技術習得としか考えず、経済格差から生じる教育格差を、新自由主義や市場原理という教育とは相容れない道具を使って正当化する人間たちには、全く無縁で、理解不能な考え方でしょう。
 
このブログに、色々なIDを使ってちょっかいを出しに来る、公立の特権的学校(エリート校というらしい、噴飯もの!)を異常な執着心を持って宣伝する、あの有名人などには想像を絶する思想でしょうね。
 
日本の教育は、明治から現代まで、組織に忠実な人間を養成する教育(いや訓練の方が適当かもしれない)であり、さらに、最近は、橋下や石原に代表される、エセ右翼、エセ保守を中心に、それを強化することで、国家(利権組織)や、特定の支配階層に都合のいい人間を養成しようという動きが活発化しています。
 
まさに、創造性を抹殺する教育、そのものです。
 
このような教育環境では、私は日本の子供たちの未来が狭小で歪んだものになるのではないかと、とても心配しています。
 
転載、ここから。
 


 
 
おはようございます。気分はいかがですか?素晴らしいですね、ここは すべてが驚嘆の連続ですだからそろそろ帰ろうかと思って(笑) カンファレンスを通して、これまで私たちは 3つのテーマを取り上げてきました どれも私が話したいことに関わっています 1つ目は人間の創造性についてここにいるすべての人が持っている 様々な形で表れる私たちの創造性と その幅の広さです。2つ目は 創造性は未来に一体何が起こるのかを 予測不可能にしてしまいます次に何が起こるかなんてさっぱりわからない
 
私は教育に関心があります 実際誰もが教育に関心があるんです あるでしょう?私はとっても興味がある例えばディナーパーティーの席で あなたが教育関係の仕事をしてると言ったとします まあ実のところ、教育関係で働いている人はあまりディナーパーティーに行ったりしませんそんなに誘われませんよね まったく誘われない。どうしてでしょうね でも招待されて、誰かと話すとします 「お仕事は?」と聞かれ 「教育関連の仕事です」と答えると彼らの顔から血の気が引くんです。きっと心の中で 「なんてこった!なんで私の隣に?せっかくのパーティーなのに!」なんて思ってる でもあなたが彼らの受けた教育について聞いたら彼らは熱心に話し出すでしょう。教育というのは 深い問題ですからね。そうでしょ? 宗教やお金のことみたいに 私は教育に非常に関心があります。私たちは皆 教育に大きな関心があると思います恐らく教育というものが私たちを予測不能な未来へと 運んで行くからでしょう 今年小学校に入学する子供たちは 2065年に定年を迎えますが、TEDに集まる あらゆる分野のエキスパートをもってしても 5年先の世界ですらわかりません それでも私たちは 未来に向かって彼らを教育していく立場にある予測不可能であることは大きなテーマです
 
そして3つ目は 我々みんなが納得していること つまり子供達が持っている潜在能力 独創性です。夕べのシリーナは驚愕でしたね彼女を見ているだけで伝わってきたでしょう? 彼女の才能は例外的なようで実はそうではない 子供はみな例外的な力を発揮できるからです 子供は自分の中に才能を発見すると没頭します子供は誰もが 比類ない才能を持っているんです 私たちは無情にもそれを無駄にしてしまっている だから私は教育について話したい 創造性のことも話していきます 創造性は識字能力と同じくらい教育に必要です創造力と識字力を同等に扱うべきなんです (拍手)ありがとう。私が言いたかったのはそういうことです どうもありがとう(笑)まだ15分も余っていますね 私が生まれたのは…いや、違うな
 
最近聞いたお気に入りの話をしましょう 絵の教室に通う6歳の少女が 教室の後ろの方で絵を描いていました少女はそれまで何にも集中したことがなかった でもその絵の教室では違ったんです 先生は興味を惹かれて少女に 「何を描いているの?」と聞きました 彼女は「神様の絵を描いてるの」と言ったんです「神様がどんな姿をしてるか誰も知らないのよ」と先生が言うと 少女は「もうすぐわかるわ」と答えたんです (笑)
 
私の息子がイギリスで4歳だった頃 正直言うと、あの頃息子はどこにいたって4歳だったんですがそう!あの年息子はどこに行っても4歳でした 息子はキリスト誕生の劇をやっていたんです どんなストーリーか覚えてますか? 壮大なストーリーでメル・ギブソンが続編をやりましたね「キリスト誕生2」見たことあります? 息子がヨゼフ役をやるというので興奮しました ヨゼフは重要な役の1つだと思っていましたから 会場を「ジェームス・ロビンソンこそヨゼフだ!」と書いた Tシャツを着た友人でいっぱいにしました 息子にセリフはなかったんですが 3人の賢者が金とフランキンセンス(乳香)とミルラ(没薬)を持ってくる場面はわかりますよね これは本当に起こったことなんですよ 恐らく順番通りやらなかったんだと思います 後で息子に「あれでよかったの?」 と訊いたら「何か間違ってた?」って言うんですだから多分順番を入れ替えたんだと思います とにかくその劇で 頭にタオルをのせた4歳の男の子たちは 贈り物の箱を置いて、最初の少年が 「私は金を贈ります」と言い2番目の子は「私はミルラを贈ります」と言い 3番目の子が「フランク セント ディス※」って言ったんです! ※英語です、フランクからの贈り物、という意味。
 
子供たちはいちかばちかやってみるんですね 何も知らなくても子供はただやってみます そうでしょ?間違えることを怖がらない間違えを犯すことと創造的であることは 同じではありませんが 間違えることを恐れていたら 決して独創的なものなど思いつかない 間違えることを許されずに育った 子供は本来の才能を失ってしまう間違えることを恐れるんです 会社はこうやって経営されてますね 過ちを犯すことを非難する 私たちが作った国家教育システムでは 失敗は最悪だと教えます 教育が人間本来の創造性を殺してしまっているピカソはかつてこう言いました 「子供はみな生まれながらのアーティストだ」 問題は成長しながらどうやってアーティストたり続けるか 我々は創造性を育てるどころか見失い創造性の欠落した教育を受けている 一体どうしてなのでしょうか?
 
私は5年前までストラットフォードオンエーボンに住んでいました ストラットフォードからロサンジェルスに引っ越したんですどんなにスムーズな変化だったか想像できますよね! ちゃんと言うと スニッターフィールドという所に住んでいました ストラットフォードの郊外で シェークスピアの父親の出生地です。驚きませんか?シェークスピアに父親がいたなんて考えたことなかったでしょ? あります? シェークスピアも子供だったなんて 7歳のシェークスピアなんて考えてもみなかった でも彼にも7歳の頃があって誰かの英語の授業を受けてたんです。なんてうっとおしいんでしょう! 「もっと努力しなさい」 「寝なさい!今すぐです!」ってシェークスピアに言うんですよ ウィリアム・シェークスピアに言うんです「鉛筆を置きなさい!」「そんな話し方するんじゃありません。みんな混乱するんですから」 (笑)
 
まあとにかく、私たちはストラットフォードからロスに引っ越しました 実はこのことで言いたいことがあります息子はロスは好きでしたが引っ越しはイヤだった 私の子供は息子が21、娘が16になります イギリスにいるサラという恋人が彼のすべて だから息子はロスに来たくなかったんです知り合って1ヶ月でした でもすでに4回目の記念日を迎えていました 16歳には時間がたっぷりありますからね 息子は不機嫌極まりなく 「サラみたいな子は他にいない!」と言っていましたでも私たちはそれを聞いて喜んでいました イギリスを離れた1番の理由がサラだったんですから (笑)
 
世界中を渡り歩いていると 1つ驚愕することがあります 地球上どこの教育制度も科目の優劣があるすべてです。どこに行こうと大差ない 他の制度があるだろうって思うでしょ?でも、ない みんな同じ。数学と語学がトップで 次が人文系。一番評価されてないのは芸術系地球上どっこにいっても! そして大概どの教育制度でも 芸術科目の中でまた順位があります 美術と音楽は演劇やダンスより上です 数学みたいにダンスを毎日教える 教育制度はありませんどうしてでしょうか? 私はダンスは非常に重要だと考えています 数学もダンスも同じくらい大事です 子供というのは1日中でも踊っています。みんなそうです 私たちはみんな体を持ってますよね。あれ、ミーティングに行きそびれたかな?私たちは子供が成長するにつれて 腰から上へとだんだんと教育し 最後は頭にフォーカスする それも脳の片側だけ
 
もしエイリアンが教育現場にやってきたら 「公教育って何のためにあるの?」と不思議に思うでしょう現在の教育がもたらす結果を見たら 誰が本当に恩恵を受けて 誰がやる事をやっていて 誰が一番おいしいところを持っていく勝者か考えたら 公教育の目的は 世界中において大学教授を生み出すことだと言わざるを得ないでしょう 彼らが世の中のトップにいる 私も昔そうだった。すごいでしょ 大学教授は好きですから。でもね、みなさん 大学教授だけが人間の最高峰ではないんです大学教授は単に1つの生き方に過ぎない 彼らはとても好奇心旺盛ですけどね 大学教授に対する愛情から言ってるんですよ 教授というのはとっても興味深い生き物だ 大概、教授というのは頭の中で生きてるそれも頭の片方に偏ってる 言葉通り、なんだか現実離れしてる人たちです 彼らは自分たちの体を 頭を運ぶための乗り物としか見ていませんよね? 体は教授を会議に連れてくための乗り物ですもし本当の幽体離脱体験の証拠が欲しければ 教授の重鎮が集まるような 数日間の学会に行ってみるといい 最終日の夜にはディスコに行って ビートなんか無視してめちゃくちゃに体をくねらせながら「早く家に帰って今夜のことを論文に書こう」 なんて考えてるいい年した男女を見れますから
 

その2に続く