自立性を育てる方法教えます

フッジサンケイビジネスアイより引用
 
学習塾大手の栄光など5社は18日、自立して社会で活躍できる人材の育成や教育のあり方について提言し、活動する新たな組織を設立することを明らかにした。大手学習塾が受験一辺倒の教育を見直した上で連携し、具体的な教育改革を試みる組織を設立するのは初めて。当初の発起人は5社だが、今後、同様の問題意識を持つ大学など教育機関や行政、マスコミなどに広く参加を呼びかけて、文部科学省などに具体的な提言を行っていく。

 発足するのは一般社団法人「次代の教育を共に拓(ひら)く会」で、19日に正式に設立する。発起人として名乗りを上げたのは栄光のほか、市進ホールディングス、ウィザス、進学会増進会出版社静岡県長泉町Z会)の5社。理事長は、教育分野で幅広い実績を持つ日本教育大学院大学教授で教育学博士の高橋誠氏が就任する。Z会加藤文夫社長は「公教育と民間教育の枠を超えて子供たちに何ができるのかを提言していきたい」と話している。

 学習塾はこれまで、高校や大学の受験を念頭に教育の場を提供してきた。しかし、大学進学率は今や5割超。受験にこだわるだけではなく、グローバル社会の中で存在感を発揮できる、自立性に富んだ子供の育成に向けさまざまな提言を行う組織が必要と判断した。5社にはあわせて約40万人の学生が学んでおり、影響力を発揮していく。

 具体的な活動としては当面、科学の実験など新たな教育サービスに取り組む塾のノウハウを収集。情報を共有化する。また、各種講演会の開催や学校と塾の相互研修などを通じ、会の取り組みの認知度向上を図る。

引用、ここまで。
 
 
何か違和感を覚える。
 
日本の教育を引っかき回し、最大の問題を引き起こしている塾が、何を言うか、というのが私の感想である。
 
教育を正常化するために、一番効き目があるのは、進学塾に代表される教育産業を廃止することだ。
 
さすがに、それは出来ないだろう。
 
この民間の教育再生会議(私の勝手な命名)の設立趣旨には、ご立派な文言が羅列されているが、これは、ダタ、でやるわけじゃないだろう。
 
当然受益者負担であろうし、恩恵があるとするなら(私は全くないと信じるが)、それは富裕層だけだ。
 
こういう金まみれの、教育?活動を、ありがたがる親はいるのだろうか。
 
たぶん、受験勉強のオプション的な意味合いが強く、収益の頭打ちが予想される受験業界の、次なる一手が、このご立派な、人間教育講座、なのであろう。
 
日本の親は、どこまで塾に捨て子をして、無駄なお金をつぎ込まされ続けるのだろうか。
 
受験勉強の覇者で、人間的にも優れていて、リーダーシップのとれる者、をうたい文句にしているが、それは、講座によって、育まれるものであろうか。
 
お金まみれの塾に逃げ込み、広く社会を見渡さない子供を、例え画に描いたような優良児に仕立て上げたとしても、多様な人間がいるこの複雑な社会を理解できるだろうか、とても不安である。
 
つまり、自主性、自立性、を謳っていても、結局は、方法論の伝授、とその演習、という型の習得に終わってしまうのではないか、と疑問を呈しているのだ。
 
この企てに参加している塾の、自慢のノウハウを集めて、ほら、こんなに素晴らしいことがあるんですよ、と商品として押し売りしようと企んでいるとしか思えない。
 
あまりネガティブなことを書き並べても、辟易されてしまうだけなので、この辺でやめとするが、こういった商売が成立すること自体、この国の教育が自信をなくしていて、自分というものを見失って、すぐに教育産業を頼みにするという、悪しき社会風潮を反映したものであり、親たちの、人間としての未熟さ、を実は示していると、私は考える。
 
子供を幼稚園の頃から塾漬けにする戦略を既定路線としている塾さまが、なんとも、不釣り合いなことをおっしゃるものである。
 
今度は、学力向上講座に、自発的思考養成講座もくっつけて、完全商品、などといって販売するつもりだろう。
 
この、自己批判精神のかけらも見られない、塾による提言組織は、最近の社会風潮である、言っていることと、やってることとが全く違う典型例である。
 
本当に子供の未来を憂いでいるなら、サッサと商売をやめなさい、塾さま。