学校選択制と中高一貫校Ⅱ

前回に続く。
 
【梶田叡一 京都ノートルダム女子大学学長】
 それは誤解です。私はそういう風に思っていません。今、一生懸命一つひとつ学校が個性を出そうとしていると思って頑張っておりますし、むしろそれを押し進めていくべきだと思っています。
 ただ、さっきの競争を排除するという考え方は、せっかくここまできた個性化、学校の一つひとつが個性的な存在になろうと思って努力している、このことを結局は潰していくものであろうと、そういうことを申し上げたのです。
だと思います。
 
 
 
第12回教育改革国民会議議事録より(平成12年12月11日)
http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/dai12/12gijiroku.html
藤田英典 東京大学教育学部長 】
 早速で恐縮ですけれども、今、御説明を伺って、いろいろ変更があったと思うんですが、金子さんの御説明の中に、前回の議論を踏まえて修正していただいたということがありました。事実そうなっていると思うんですが、
例えば7ページの中高一貫校のところです。これは前回よりももっと踏み込んだ提案、記述になっているんですけれども、私の記憶では、これについて私は強い反対意見を申し上げました。しかし、もちろん賛成意見はあったかもしれませんが、このようにもっと積極的に提案すべきだという意見が出たわけではなかったと思います。それにもかかわらず、なぜこうなったのか、その理由なり経緯なりを御説明いただければと思います。
 それから、最終報告では、全体になるべく調整して、そのかわり分科会報告を付けないということは了解しているつもりでありますけれども、異論や反対意見の取り扱い方に疑問があります。例えば外部評価等については、私の反対意見にも一応御配慮いただいていると思いますが、全体として、ある委員の、あるいは、ある分科会の意見が企画委員会において採用されて、私が一貫して強く反対しているところについてはほとんど考慮されていないというふうに思うんですが、その点についても御説明いただければと思います。
牛尾治朗副座長 ウシオ電機会長】
 後段の方につきましては、15ページの後ろの3段目のおしまいに、私たちの議論の背景を理解していただくためにも議事録等もごらんいただくように希望するというので議事録は全文公開しておりますし、ホームページにも全文入っておりますので、その点は関心のある方は全部読めるようになっておりますので御了解願いたいと思います。
 中高一貫教育の方は、もし木村さんよければ御説明願います。
【木村孟副座長 大学評価・学位授与機構長】
 確かに藤田先生からは終始一貫御反対がございましたが、第3分科会では中高一貫教育校が全体の半分ぐらいになるようにすべきだという強い議論がございましたので、それをここへ書かせて頂いた次第です。多分委員の中で御反対になったのは私の記憶では藤田先生だけだと了解しております。反対意見があることについては、この報告書は全会一致ではないということを銘記してありますので、そういうことで御了解頂きたいと思います。また今回の修正で少し詳しく説明させていただいたのは、前回の先生の御発言の趣旨を盛り込もうとしたためであります。
藤田英典 東京大学教育学部長 】
 そうでしょうか。私はむしろ批判的な意見を申し上げましたけれども、中間報告では「中高一貫教育をより一層推進する」ということだけだったと思いますが、ここでは、「更に思い切った支援策を講ずる」という文言が加わっています。これは言い換えれば、既存の3年制の中学、高校よりも中高一貫校を優遇するということでしょう。既に文部省はそういう方針を出していると思いますけれども、支援策を講ずるということ、つまり、優遇措置を講ずるということは、ある種の格差化を中学校段階から持ち込むということになると思います。これがどうして支持されるのかが私にはよくわからないんですが、いかがでしょうか。
 
転載、ここまで。
 
まさに、結論ありきの会議である、当時は自民党政権であり、支配階層、利権集団への冨の集中と、それに隷属する大多数の者という、国民の選別を、教育において実現しようと考えていたのである。
 
平成12年当時の自民党政権、そして、最近の民主党政権においても、大きな批判もなく、抵抗もなく、この教育改革(改悪)は進められていった。
 
そして、現在。
 
所属する社会階層によって、評価は様々だろうが、教育の場において、着実に、王様と奴隷の二極化が進行していることだけは確かである。