人生に行き詰まった孫と祖父が、救いを求めて、親戚を訪ねるのですが、いきなりの訪問で、みな、びっくり、そして、感情的なわだかまりが爆発、というストーリー展開です。
始め、イライラさせられました、孫と祖父のシーン。
職を失い、生活に困った孫が、祖父に親戚で面倒を見て貰うように言った、という設定で、映画は始まります。
その設定が、冒頭では、全く分からないので、何をやっているのか、さっぱり分かりませんでした。
仲代は果たして適役だったのかなあ、などと感じてしまいました。
ちょっと世界が違う気がしました。
演技力はあるので、超インテリ風の元漁師な頑固ジジイ、という役を創り上げて、演じてましたね。
そこに違和感を感じてしまいました。
脇役が名優ばかりなので、申し分ありません、仲代がすっかりかすんでました。
私、孫役の徳永えりのファンですが、外股で歩く女の子、ってどうなのかなあ、とそんなマイナーなことが気になって仕方ありませんでした。
ケバくない役をこなせる、今時珍しい貴重な女優でしょうか、彼女。
気立ての優しい、純朴な孫娘を演じるのは、茶髪、アゴナシ丸顔、お目々パッチリの、今風のジャリタレでは無理ですね。
でも、物語は、進行につれて、落ち着いていって(私が仲代を受け入れたのかも)、観ながら、自分自身に投影して、とても、切ない気持ちにさせられました。
そして、ラスト。
列車の中のシーン。
増毛(高倉健の駅(ステーション)の舞台!)に到着目前で、孫に寄りかかったまま、絶命する祖父。
ああいう死に方がしたいです、私。
一時かもしれないけど、自分を最も愛してくれる人、大切に思ってくれる人に見守られ、最高の幸せの中で、一生を終えること。
感動ばかりではありません、人間は、1人では生きていけない、という現実も、一方で、思い知らされた気がしました。
孫と祖父、自分を最も愛してくれて、必要とする人が誰なのか、旅を通じて気がつき、そして、その生活を大切にする決意が固まったところで、祖父が亡くなる、という設定は、ありがちですが、孫娘にとっては、今後のことを考えると、よかったのかもしれない、と感じました。
ふたりの人生に配慮した、結末、を用意したのかもしれませんね。