都立高校の躍進、いや、H高校に集約しただけか?

東大合格者が発表になった。

都立H高校が大躍進!という見出しが目に入った。

このヘッドラインがなかったら、今期は、この記事を書かなかっただろう。

さて、都立全体としてはどうか。

とても、躍進とは言えないのではないか?

まあ、東大だけが大学じゃないので、今流行の、国公立の医学部合格者という物差しで、学校の優劣を論じるということが、インターネットの学歴大好き人間の集まるサイトでは、盛んに行われている。

医学教育に関係している者としては、医者の適性に関する議論が全くなされず、関西のN高校は、理靴鵬真郵膤覆靴拭△箸いΔ茲Δ平瑤力辰暴始していることが、残念でならない。

教育産業関係者は、気楽に、数をいじくり回すだけであるが、医療の将来に直結する重大な問題であることを、少しは考えてほしいものだ。

話が、それてしまった。

さびしいのは、都立高校が学区撤廃したことと、特定の学校を優遇する教育政策の実施、大学受験に特化した中高一貫校の創設により、地域を担ってきた学校の進学実績が芳しくないことだ。

H高校を、都立高校復権(下品な言葉だ)の旗頭とするため、すべてをこの学校に傾注した結果が、ハッキリと大学進学実績として現れている。

まさに、目論見通りである。

教育者を名乗るイシハラシンパの輩が思い描いたとおりに、頭の良い子が動いてくれた、ということだろう。

仕掛けた連中は、痛快だろう。

私には、都立という公教育システムの中で、残り少ないパイを、仲良く分けていたのものを、H高校が、その半分を取って、ひとり満腹しているように見える。

みんなで栄えることを許さず、ひとり勝ちすることが大好きなあの人の思想性、そのものだ。

現職の都知事は、本当は、国家を運営したかったのだが、それが叶わず、運良く東京都という地域で、擬似的国家運営のチャンスが与えられたことから、地域という概念なしに、まるで国家を動かすがごとく、都の行政を動かしているように見える。

東京は、日本全国から人が流入するので、地域性など不要である、という思想性で動いているのだろう。

地域の中核高校の、東大合格者が減った分を合算すると、H高校の増えた分にまさに合致し、都立全体では、とくに変化がないように見えるが、私の計算間違えか?

こういう指摘をすると、今に見ていろ、都立中高一貫校が卒業生を出し始めたら、真の大躍進を果たす、という威勢のいい反論が帰ってくる。

心配なのは、この都立中高一貫校が、完全に、受験目的で創設されていることだ。果たして、楽しいのだろうか、子供たちは?



もう都立高校改悪はやめにして、公教育の使命とはなにかを、きちんと理解した都知事と教育長を選任するべきだろう。

都立高校改悪の、最終的な狙いは、入学試験の難度を上げ、学力による選抜をより厳にすることで、受験準備の負担を家庭に強いて、結果、経済的余裕のある社会階層のみが、受験に成功するようにし向け、都立高校は、高学力の者でなくては入学がかなわない、という印象を植え付けることだろう。

そして、不人気になった、下位校を切り捨てることにより(現に、統廃合が恐ろしいスピードで進行している)、都立高校全体として、あたかも、学力レベルが高いように見せかけようとしていると、私は考える。

現職の知事が大好きな、人の選別と切り捨てである。

身体障害者を、生きている価値がない、と堂々と発言する人物である。

悲しいかな、東京都の親たちは、この改悪に対して、全く無批判である。

ゆとり教育批判の体裁を取っているので、この、悪だくみの本質が全く見抜けていないようだ。

何度となく繰り返してきたが、公教育は、特定の社会階層の人間のためにあるのではない。

学力増進に見せかけた、経済格差による教育格差の拡大を、容認してはならないと、私は思う。


それにしても、H高校は、都内全域から、東大を目指す子供をかき集めた、という印象である。

教育力のたまもの、などと宣伝するのだろう、きっと。

まるで私立の新興進学校のようだ。

都立高校に、こんな日が来るとは。