医学部定員増

マスコミで、大きく報道されたましたが、医学部の定員増が、正式に動き出しました。

これに関しては、つい最近のブログで書きました。

今回の定員増には、色々な仕掛けがしてありますが、果たして、地方に医学生を定着できるか、あるいは、敬遠される診療科に、医者を定着させることが出来るか、思惑通り行くとは思えないのです。

その国が考えた、仕掛けに関しては、決定的な拘束力がなく、その効果は疑問です。

職業選択の自由など、基本的人権を著しく侵害できないでしょうから、今回のような、生ぬるい措置によって、学生に少しの拘束力を課したようですが、これとて問題があります。

同じ医学生の中に、地域枠で入学した者と、普通に入学した者がおり、地域枠の学生にはその地域に居残らなければならないという制限がかけられ、普通に入学した学生はない、という2つの制度が存在することになってしまうのです。

学生間で、上手くやっていけるのでしょうか?

地域枠の学生が、大きく優遇されるなら、それもまた問題ですし、その辺がとても微妙で、1つの組織に、異質なものが混在する状況を、上手く管理できるか、とても心配です。

定員増するなら、地域に貢献せよ、ということですが、これ以上、何をせよといいたいのでしょうか。

苦しい中で、医者のやり繰りをして、研修医教育をし、さらに、地域医療をというと、大学病院は、パンクするかもしれません。

大学によって事情が異なるので、決めつけることは出来ませんが、行き当たりばったりの制度改革なら、その成功はおぼつかないように思えます。

現実問題として、来年度に増員した者が医者になるためには、最低8年、現実にはもっと必要ですから、最短でも、10年後でないと、その効果は検証できないのです。

毎年、だらだらと、医学部の入学定員を増やし続けるのは勝手ですが、一体、だれが医学教育を支援してくれるのでしょうか。

研修制度1つをとっても、未だ問題が山積している中、さらに混乱する現場に負担をかけるような制度変更は、果たして、現実的なものでしょうか。

何かやらなければならない、ということから、医師の定員増に走ったのでしょうが、医学教育は、手間のかかるものだという認識が、全く欠落していることに、不安を覚えます。

医者の偏在を解決することの切り札は、人を助けたいと言う明確な志を持つ者を選択し、入学させることを、徹底させることだと考えます。

単に医科学をやりたいという者は、別のルートを造って、そちらで自己表現してもらうようにすべきです。

東大のような、医学界にとてつもない影響力のある大学に、志のある医学部進学者が、決して多くないことを、もっと問題にすべきです。

東大の医学部に進学すれば、地域枠も関係ないし、あとは、やりたい放題です。

頭がいいことの証明に、医学部に進学するという歪んだ現状を、早急に改めなければ、日本の医療は、心のないものになっていきます。

厚労省の方針の中に、医学部の入学者の選考に関して、何ら工夫がないことに、愕然とします。

いくら地域枠だ、奨学金だ、といっても、選考の過程で、医者の適性をもっと重要視しなければ、医者の質も下がり、偏在も改善されないでしょう。

医学部にいて、アメリカの教授に認められ、生命科学の基礎研究でノーベル賞をとることが人生の目標である、といったような医学生は、現状では、要らないと、宣言すべき状況です。

どうして、医学部にいなくてはならないか、そのこだわりが、論理的でなく、医学部という権威に寄りかかっていたいという下心が見えて、なんとも、若いくせにいやらしさを感じます。

本当の意味で、頭のいい人間ではないのでしょうね。

アメリカのように余裕があれば、そんな人間がいても良いのかもしれませんが、日本の医療の現状を考えると、邪魔で無駄なだけです。

国民は、もっと要求しましょう。

道は要らない、そのかわり、まともな医者を増やせと。

社保庁を舞台にした、年金の詐欺さえ、誤魔化してしまおうとする意図がありありの国に、医療の改革は無理だと、私は考えています。