公開当日の最終回、見に行きました。
最初から、最後まで、こんなに集中して観た映画は、久しぶりです。
ほんと、良かった。
納棺師という職種、知りませんでした。
葬儀屋さんとは独立して営業しているように、映画の中では描かれていました。
納棺師という職業を映画の題材にするのは、ちょっとはばかられるかもしれません。
でも、この映画に関しては、その仕事の意味を、観る者に、声高ではなく、淡々とした、仕事の流れの場面から、しっかりと理解できるように、心憎いほど、上手に演出されていました。
日本人の細やかな心遣い、日本人の立ち居振る舞いの美しさを、再認識させてくれます。
日本人って、すばらしい!と実感できます。
この映画は、観る者の心に、人の死にまつわる、それぞれの経験を呼び起こさせ、それを追想させます。
映画の場面と、それぞれの体験が、重なり、なんとも言えない、複雑な感情に支配されます。
人の死は、それに関わる人々の、本心が透けて見えるときでもあります。
そして、嫌なことも沢山見なくてはなりません。
でも、色々なことを乗り越えて、死者を送ることが、人間であることの証明のように思えます。
映画の技術的なことに関しては、山形が舞台になっていて、スイングガールズ以来、久しぶりに、東北弁というか、ズーズー弁(庄内弁?)を聞けて、嬉しくなりました。
私、山形のなまり、大好きです。
そして、各場面のバックにある、月山、あれが、東北の象徴のように感じました。
役者さんが、みんな上手すぎます。
主演の本木さん、いい味出してますね。
彼の所作の美しさが、この映画の全てです。
本木さんの奥さん役の広末さん、私的には、色々あって、私としては、彼女にはいささか抵抗感がありましたが、若奥さんの役を、自身の経験も生かしてか、好演していました。
山崎努さん、あの存在感、すごいですね。存在感ありすぎかも。
笹野高史さん、名脇役として、いい味出してますね。
笹野さんは、個人的には、表情の硬さと、眼光の鋭さから、不気味さというか、怖さを感じてしまうのですが、よくありがちな、ただのひとのいいおじさん、とは違った希有な個性を感じます。
吉行和子さんは、最近、老け役が多くなりましたね。でも、まだ、色気がありすぎですよ。
最後に、なんと言っても、久石譲の音楽、チェロの曲、心にしみます。
すばらしいの一言です。
おくりびと、もう一度、観たい映画です。