大学院

日本の高等教育改革は、大学院の充実?といううたい文句で、その専攻や定員を、やたらと増やしました。

その結果何が起こったかというと、大学院修了者が劇的に増加し、研究職が得にくくなったのです。

昔は、ほんのお手伝いだった、実験助手でさえ、昨今は、かなり競争があるようです。

それと、最大の問題は、大学院教育を受ける資質のない者が、大学院に入り込んできていることです。

定員を満たす必要があるため(定員割れを繰り返すと、お上からの厳しい指導がある)、昔なら、絶対に進学しない、あるいは、出来ないような者まで、大学院に取り込んでいます。

優秀な学生は、学部卒でも、良いところに就職できますし、研究を取り巻く状況から考えて、金銭的余裕があったり、よほどの覚悟がある場合は別として、さっさと就職した方が、現状では、得です。

こんな不健全な大学院教育をこの先続けていても、日本の科学研究の底上げにはならないと、私は考えます。

私の研究室の先輩で、発生学分野ではノーベル賞に近いという世界的に有名な研究者がいますが、多くの大学院生を抱えて、四苦八苦しています。

多ければ力になる、というのはこの業界では通じないと思います。

医学部の医局じゃないんだから、研究は。

一つ一つ、丁寧に育てることが、必要なのです。

そこで提案ですが、大学院の定員を、昔と同じくらいに減員したらどうでしょうか。

粗製濫造の大学院教育になる前に、昔の、落ち着きある大学院に戻すべきです。