医学教育

私の所属するところでも、最近、医学教育のセクションを立ち上げて、色々な情報を学内向けに紹介している。

あの大学は、こんなことをやっているとか、アメリカのどこやらの医学部では、こんなプログラムがある、といった調子だ。

担当者の趣味かもしれないが、相変わらずの外国崇拝で、自学の医学教育を分析し、自分の頭で考え、改善目標を掲げる、といった当たり前のことが全く出来ていない。

私には、医学教育部門の担当者が、方法論に振り回されて、人間を全く見ていないように思える。

有効な医学教育システムを構築するのに手一杯なのかもしれないが、心の通わないシステムなぞ、不要だ。

私に言わせれば、真に医者になりたい人を選抜し、当たり前の教育を、当たり前にやれば、こと足りると思う。

教員の怠慢も確かにある。いくら教育に専心しても、評価の対象とならない、つまり教授になれないなら、自ずと心が教育から離れていくのではないか。

心ある医学部の教員は、教育と研究をどう両立させるか、真剣に悩んでいる。

中には、驚くほど無責任な教員もいるが、それを監督し、指導するのが教授のはずなのだが…。

それに加えて、医者に向かない、あるいは、意欲のない者が、医学部に入り込んでいることも、大きな問題だ。

世の中も、国公立の医学部に何人合格した、などと騒がしいが、医学部を頭の良さを計る目安か何かと勘違いしている。

全く本質を見失ったことが、医学を取り巻く環境で、進行している。

医学教育は、当たり前のことを、当たり前にやることが肝心なのだ。