パターンで解く国試に未来はあるか?

医師国家試験の問題(いわゆる復元問題)を眺めていると、いろいろな問題点に気づく。

五択問題では、まず、問題文から始まり、臨床症状、検査値(血算、生化学など)などが、ごたごた書いてある。その後、設問文があって、5つの選択肢の中から適当なもの選ぶというのが標準的な問題だ。

面白いことに、問題によっては、選択肢側から解答が容易に想像できるものがある。つまり、医学的でもっともらしく書かれた問題文を丹念に読む必要がないのだ。なぜそうなるかというと、個々の選択肢に、何らかの意味を持たそうとすると、かえって、正解が発見しやすくなるのだ。かといって、無茶苦茶な選択肢では、よけい正解が見つけやすくなる。実は、選択肢を考えるのは、大変なことなのだ。選択肢に意味づけをすると、そこに何らかのパターンが生じることとなる。

現行の医師国家試験の問題は、出題パターンと解答パターンを把握すれば、浅い知識でも、かなり?対応できるのではなかろうか。限られた時間で、膨大な医学知識を問うには、現行の試験制度しかないのかもしれないが、私個人としては、パターン認識で解答できる、あるいは、させてしまう問題よりは、確実な知識をうまく運用しなくては解答できないような問題がいいと思うのだが…。まあ、現行の医学教育制度を改革しないことには、何も進まないような気がする。

反発覚悟で言うが、もう、高校生のような人たちを対象とした医学教育には見切りをつけるときが来ていると思う。私立のある大学の医学部では、学士入学を定員の30パーセントまで増やしたところもある。今後、様子を見て、さらに増やすことも考えているらしい。

生命に関わる医学にはよりいっそうの厳しさが求められてもいいと思う。だからこそ、莫大な税金が投入されているのだから。