貧乏な国、日本

4日ほど、伊豆の下田で遊んできた。
伊豆には毎年行っている。
20代の中頃までは、研究のため、よく通った。
海の様子は一度に変わらない。
20年前と比べると、生物相が貧弱になった。
昔は、磯がもっと賑やかだった。
タイドプールには、色とりどりの魚があふれていた。
環境破壊については、最近は、声高に語られることは少なくなったが、着実に進行している。
伊豆をフィールドにしている若い生態学者と話したが、彼も、そう感じているようだ。

生態学者との会話のなかで、気になることがあった。
昨今は、分子生物学的研究でないと、大学内でも肩身が狭い状況が構築されかかっているらしい。
何でも遺伝子というやつだ。分子生物学をやる連中の力が強くなっている。
科学の流れから致し方ないが、生物学の多様性を認めないのはどうかと思う。
生物は多様なものであり、だからこそ、色々な研究のアプローチがあるのだが、分子生物学だけが科学なのか?
私の個人的な意見だが、生物を好きでない人が生物学分野に生き残りやすい時代になっていると思う。
業績評価ということが叫ばれはじめて、この状況は加速している。
欧米では分子生物学以外の昔ながらの生物学的研究も大事にされている。
日本は本当に精神的に貧乏な国である。流行に振り回されている。
ボスと呼ばれる人達が巨額の研究費を消費しても、生物学分野で、本当におもしろい研究が出ない状況を、じっくり考えてみる必要があるのではないか。