エトロフ遥かなり、20年前は少しはまともだったのかニッポン人は

このところ、20年前のNHKのドラマ、エトロフ遥かなり、を観ている。
 
20年前に録画したビデオである。
 
何かの拍子で、Youtube上でその一部を目にして、なんとなく気になり、全編を視聴してしまった。
 
このドラマは、日系米国人の米国諜報部員が、太平洋戦争開戦前夜に日本潜入を果たし、帝国海軍の動向を探るために、数々の危険を乗り越えて、択捉島の単冠湾に集結した日本海軍機動部隊のハワイ奇襲作戦を突き止め、打電する、というストーリーである。
 
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NHKも、かなり気合を入れて制作したらしく、出演者もなかなか豪華である。
 
この作品で、私は阿部寛という役者を初めて知ったが、強烈な個性を持った異色の俳優という印象を受けた。
 
個人的には、択捉島の駅停の女主人を演じた沢口靖子の可愛さ、美しさが際立っていた、本当にきれいだった、彼女は。
 
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で、内容であるが、アホ政権に乗っ取られた現在のNHKとは真逆の思想に貫かれた作品で、大日本帝国が大陸で何をしたのか、そして、その結果、何が起こったのかを南京大虐殺などを背景に、登場人物が、大国の邪な野望によって、その人生を翻弄される様を描き出そうとした野心作である。
 
日本帝国の戦争犯罪を正当化し、それを反省する言説を、自虐史観、と攻撃するアホのような国粋主義者には、見るに堪えないドラマだろう。
 
20年前のニッポン人には、戦争を憎み、平和を求める気質と、戦争犯罪を直視しようとする気概が、まだあったことを強烈に感じさせてくれるドラマだと思う。
 
このドラマを制作したNHK自身が、アホの広報役に落ちぶれ、国粋主義的思想を持った者をトップに据えて、その同調者を経営委員に入れるようになるとは、誰が予想しただろうか。
 
この20年は、ニッポン人の心の中に、あの戦争犯罪を忘れて、無かったものにしたい、という思いを熟成させる何かがあったのだろうか。
 
その何かは一体何か。
 
奇しくも、あの戦争を主導した者の血脈にあり、その思想を直接的に受け継ぐアホのような人物が最高権力者にのし上がり、ニッポンを大手を振って戦争のできる軍事国家に改悪しようとするこの時期に、このドラマに再会できたことは、私個人にとっては絶好のタイミングだったと思う。
 
自虐的になる必要はない、西洋列強、中国も、等しく戦争犯罪を犯して、その利権を死守してきたことは誰もが知っている事実であり、ニッポン人自身も反省するとともに、他国への反省と改心を促す役割を担えばよいのである。
 
人間はいつの世も強欲な生き物であり、その悪癖を悔い改めようとしない愚か者であると、声高に主張し、批判すればよいのである。
 
断っておくが、私自身は、以前も書いたが、中国共産党と現代中国は大嫌いであり、米国のポチとなることなどまっぴら御免である。
 
ただし、反省を忘れてはいけないのである、アホのように。
 
とくに、自民党が政権を数々の不正な工作を弄して強奪してから、アホの思想背景に同調するがごとく、歪んだ愛国思想、偏狭な国粋主義、差別思想が、大手を振って喧伝される、世界に恥ずべく社会となってしまった。
 
世界中の文明国から非難されているヘイトスピーチなど、その象徴だろう。
 
可能であれば、ぜひ、エトロフ遥かなり、をご視聴いただきたい、当時(20年前)のニッポン人の良心がどんなものだったのかを知ることができからだ。