子供を遊ばせない雁字搦めの教育へ邁進するニッポン、何のためか?

大嫌いな産経の記事から引用。
 
幼稚園の年長(5歳児)から義務教育化し、教育内容の質的向上と組織に適応するための教育という名の訓練を早期に始めよう、という内容のように私には読めるが、いかがか。
 
幼稚園の年長から鍛えて、一体何を目指すのであろうか。
 
子供の成長を、組織に適応できるか、先生の指示に従い、適切に反応できることに重点を置いた指標で計っていいものだろうか。
 
私は自分を取り巻く環境の中で、のびのび生活し、体験することで、子供は成長すると考えるが、こういう考え方は数値化ができないので、主観的、観念的、という言葉で退けられるのだろう。
 
何でもかんでも大人の知恵者?がお膳立てをして、そこに子供を乗せ、決められた速度で走るように調教することが、果たして教育の質的向上に繋がるのか。
 
周到に準備された教材を与える教育が、果たして、子供の成長にどれだけ寄与しているのか、しっかりと検証したことがあるのか。
 
幼児、初等教育とは、早熟な知恵者(思考力の発達が早い子供という意味)をピックアップする進学校の受験が目的ではないはずである、先取り教育、をどこまで先取りしたら気が済むのだろうか、今回の教育制度改革を推進する者たちは。
 
私は心配している、この何でも早期教育、という発想の原点は、自身の体験を過大評価した結果ではないかと。
 
つまり、教育に限らず、支配的な立場にいる人間の多くが(とくに高級官僚)、先取り教育を経た人間であることが、何でも先取り、という短絡的な発想になってしまうのではないかと、危惧するのである。
 
義務化による教育内容の質の向上という耳障りのいいスローガンで、マクドナルド教育、いつでもどこでも同じ教育、人間の多様性を受け入れず、ただただ均質化を狙いとする教育を行うのか。
 
その背後にあるのは、ズバリ、管理しやすい人間の増産、つまり、組織社会適応型の人間を養成するための教育にしか思えない。
 
個性つまり多様性を受け入れるには、それこそ、人徳と能力、そして、経験が必要となるが、規格化された仕様書、指示書、に従って、そこからはみ出さない教育をやる方が簡単だからだろう、本音は。
 
教育の質の向上、といいながら、実は、内容の均質化、命令に忠実な組織適応型人間の養成がその本命のように思える。
 
そして、その先にあるのは、組織に忠誠を尽くすことをすり込まれた無垢な国民を操った戦前の国家主義社会の復興ではないのか、少々穿った見方かもしれないが。
 
現政権とそのシンパは、明治期に始まった帝国主義政策、そして、軍国主義国家主義により、ニッポンは自国民も、そして、他国にも、多大な不幸をもたらしたことすっかり失念して、あの全体主義への回帰を目指しているように感じる。
 
とくに、国家主義国粋主義的思想に染まった、現極右政権が、あれよあれよという間に、力ずくで、堂々と戦争の出来る国へと改造を急ぐ様は、戦争準備のために、昭和初期から本格化した、国家による統制と弾圧、気がつけば、軍国主義、が支配する戦争をやるための国家になっていた、という最悪の事態の再現になりかねない。
 
アベ、あの最悪の戦争を主導した重要人物の1人である岸信介の思想を受け継ぐ者、恐ろしい限りである、そんな者が何の反省もなく、のうのうと国家の頂点にいる現状は。
 
一体この国の正義とは何なのか、理解に苦しむ。
 
そして、邪悪な思想を持つ支配者は、必ずや、教育、をその支配の確立のために利用することを、国民は、決して忘れてはならない、がニッポン国民にそれを期待することは無理だろう。
 
引用、ここから。

5歳児から義務教育 文科省方針、小中一貫校を制度化

産経新聞 6月4日(水)7時55分配信
 学制改革を検討している文部科学省は3日、幼稚園や保育所などの最終学年を無償化し、義務教育とする方向で最終調整に入った。基礎学力を早期に身につけさせることなどが狙いで、幼保の枠組みを維持したまま、小学校生活にスムーズに移行できるように改革する。また、小中一貫校を制度化するとともに、中学校の教員が小学校でも教えられるよう教員免許の総合化や弾力化なども検討する。

 文科省関係者への取材で分かった。幼保最終学年の無償化や教員免許の制度改革は、政府の教育再生実行会議が7月にもまとめる学制改革の提言に盛り込まれる見通し。

 関係者によると、現在6歳からの小学校入学年を5歳に引き下げる案も一部で検討されたが、経営悪化を懸念する幼保団体などからの反発も予想され、文科省は現行の幼稚園、保育所こども園などの枠組みを維持したまま、最終学年の5歳児のみを無償にすることで義務教育化する方針を固めた。

 小学校では近年、新1年生が学校のやり方になじめず、教員の話を聞かないなど「小1プロブレム」が課題になっている。こうした中、文科省は5歳児から義務教育化することで、幼保の施設ごとにバラバラだった教育内容を一定化させ、質を向上させたい考えだ。

 また、一部の自治体が特例的に導入している小中一貫校を、新たな学校種の「義務教育学校」(仮称)として制度化することも検討。その上で学年の区切りを現行の「6・3」から「5・4」にするなど、柔軟な運用も可能にする。

 制度改革により、小学校から教科担任制を導入して算数や英語などの専門教育が可能となる。だが、現行の教員免許制度では、中学校の教員は小学校の学級担任になれず、小学校の教員は中学校で授業ができないなどの制限があるため、小中一貫の総合免許を創設したり、教員免許を弾力化したりする方針も固めた。

 学制改革を議論している教育再生実行会議が7月にもまとめる提言を受け、文科省は学校教育法の改正案づくりなどを進める方針。