箱根、雪見旅

少々手こずっていた論文が立て続けに受理され、オンラインで公開され、ストレスから解放されたので、リハビリをかねて、箱根へ温泉旅行としゃれ込んだ。
 
当然のこと、これまで行ったことのない(泊まったことがないということ)ところを狙って、ネット上で探しまくったのだが、急な思いつきで、なかなかいい物件が見つからなかった。
 
最終的に、少々、不便であるが、仙石原近辺の、山の中のリゾートホテル、を見つけて予約を入れた。
 
箱根湯本からバスで桃源台方面へ向かい、ホテル前で下車。
 
箱根駅伝の中継でご存じの方も多いとは思うが、箱根の山には、そう多くはないのだが、ちょうどいい具合に雪が残っており、冬景色を楽しむことがで来た。
 
途中、仙石原高原では、一面のススキが、先日降った雪を背景に、夕日を受けて黄金に輝くさまには、息を飲んだ。
 
久しぶりに見た、魂が洗われるような、感動的な風景だった。
 
残念ながら、携帯していたデジカメを取り出す暇がなく、写真を取り損ねてしまったが、脳裏にはしっかり焼き付いている。
 
以下の写真は、同じ所を、次の日に撮ったもので、曇りのため平凡な風景写真となった。
 
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泊まったホテルは、築30年以上は経過しているようで、その外観は、昭和の趣そのままである。
 
内部は確かに古く、最新のリゾートホテルなど比べると、貧弱、といわれても仕方ないのであるが、一応、某有名ホテルであるから、建物の古さはさておき、スタッフの身のこなし、設備の保守や雰囲気などはキチンとしており、昭和の匂いのする、居心地のいいホテルだった。
 
そういえば、若いときに勤めていた某大学医学部の付属病院の最上階にあったレストランは、ここのホテルがやっていた。
 
本当は、もっと派手派手しいところに泊まる予定だったのだが、いい加減なものである(笑)。
 
ホテルからの眺めを写真に示すが、一面の銀世界である。
 
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遠くには、富士が、前山越しに見え、その美しさ、偉容を強烈にアピールしている。
 
ホテルからの眺めを満喫した後は、いよいよ、お目当ての温泉である。
 
大浴場は、さほどの広さではないが、ありがちな浴室で、全面ガラス張りの、扇形の浴槽で、古くはあるが、掃除も行き届いていて、清掃のための数時間を除いて、ほとんど一日中入浴が可能だった。
 
泉質は、硫黄泉、であったが、実は、私は強めの硫黄泉は嫌いなのである。
 
入浴後は、お湯で体を洗ったのだが、硫黄の匂いが取れず、就寝前に、リラックスをかねて、自室で入浴して、匂いを取った。
 
温泉の効能がなくなる、と叱られるかもしれないが、匂いがあまりに鼻についたので、今回は、そうした。
 
夕食は、私のポリシーで、料理の写真を撮ることはしていない、ちゃんとしたホテルのダイニングで、写真を撮るというのは、私にはいささか恥ずかしい。
 
フランス料理なのであるが、素材に甘鯛などの魚介を使ったものを選択した、ホテルのサイトを見ても、日替わりに近いらしく、詳細は不明。
 
3コースから選択し、さらに、前菜、スープ、主菜、をいくかの選択肢から選ぶ、というものだった。
 
こういう選択の幅があると、私のような貧乏人には、かえって困ってしまうのである、貧弱な食の知識では、できあがりが想像できないからだ。
 
とくに美味しとは感じなかったが、やさしい風味、というか、穏やかな味わいの料理ばかりだったが、パンはとても美味しくて、おかわりをしてしまった(汗、笑)。
 
そして、ありがちではあるが、ババロアとフルーツを入れ込んだゼリーをチョコとフルーツソースでデコレーションしたプレートがデザートとして出てきた。
 
あとは、紅茶をすすり、いや、おかわりを要求して(笑)、席を立つ気になるまで、お茶を楽しんだ。
 
説明が前後したが、客室は、まさに、昭和風、であり、ホテル自体の造りは相当頑丈そうで、コンクリートの壁は厚く、隣の音など、少しも聞こえない、しっかりとしたものだった。
 
妙に華美なものより、基本性能がいい方が、私には嬉しい。
 
室内は、掃除が行き届いていて、感じよかった。
 
禁煙室ではなかったが(灰皿とマッチが設置されていた)、少しもたばこ臭さがなかった。
 
そして、朝。
 
ちょうど富士が望める方面は晴れており、その偉容を堪能できた。
 
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朝食は、和食を選択したが、これが大当たりで、構成と味付けが、程よく、優しく、風味よく、私にとっては最高ランクだった。
 
カマスのひもの、卵焼き、シジミのみそ汁、野菜の煮物、付け合わせの漬け物などなど、ホテルのお仕着せ朝食で、こんなに美味しい、と感じたのは初めてだった、単に私の好みに合っていただけだろうけど。
 
総じて、このホテルの料理は、和も洋も、華美ではないが、穏やかで、重くなく、ちょうどよい感じの味わいだった。
 
で、チャックアウトが12時までOKなので、部屋で、一休みしてから、フロントで精算し、ティールームでコーヒーを一杯すすってから、ホテルを後にした。
 
後は帰宅するだけだが、面白くないので、バスには乗らず、歩いて、箱根ラリック美術館、まで行くことにした。
 
ラリックとは、あのルネ・ラリックのことで、アール・ヌーボーアール・デコの時代を代表する芸術家で、とりわけ、ガラス工芸品は有名である。
 
内容は知っているので、とくに博物館を見る予定はなかったのだが、散歩する距離としては、ちょうどいいと考えた次第だ。
 
それにしても、途中の道は、歩道が十分に整備されておらず、結構なスピードを出す車がそばに迫ってきて、何度か冷や冷やさせられた。
 
まあ、あのあたりをノコノコ歩く人間はそう多くはないだろうし、しかも、一応、冬期、ということで道も雪だまりがあったりして、歩きにくいことこの上なかった。
 
星の王子さまミュージアムを通過し、漸くして、ラリック美術館へ到着。
 
下の写真は、星の王子さまミュージアムの入り口と王子のオブジェ。
 
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下の写真は、箱根ラリック美術館の正面、といっても右はみやげ物屋で左は付属のレストラン。
 
みやげ物屋の奥に美術館の本館があるが、そう大きくない。その下の写真はレストランの全景。
 
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みやげ物屋の入り口には、クリスマスツリーによじ登る熊のぬいぐるみ?が飾ってあった、なかなか可愛い熊だ(以下の写真参照)。
 
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付属の庭園やおみやげ物店を見物し、バスで箱根湯本へ向かい、小田急、JRを乗り継いで、帰宅、という手筈だったが、バスに乗っているうちに、何か物足りなさを感じてきて、大平台、という言葉が頭に浮かび、以前、このブログでも紹介した、立ち寄り湯、へ寄ることを決めた(以前の記事参照願いたい)。
 
バスの運転手さんに降りるべき停留所を確認して、下車。
 
立ち寄り湯をやっている宿泊施設に駆け込み、料金を払い、大浴場へ。
 
実は、ここの温泉の泉質が一番好きで、今回、いささか強烈だった硫黄泉に失望していたこともあり、立ち寄り湯、を急遽決めたのだった。
 
自分にあった温泉につかり、本当に自分を解放することができた。
 
で、温泉につかってのんびりしているうちに、面白い研究のアイデアが浮かんでしまった、これまた、以前来たときと同じ現象である。
 
よほど、ここの温泉と施設が、私に合っているようだ。
 
今回は、1時間ほどの入浴だったが、少々くたびれたので、ロビーで軽く昼寝してから、大平台の駅から箱根登山鉄道に乗り、家路についた。