悪の象徴、危険な核爆弾である原発を最大限に活用する

原発がなければ、生活が成り立たない、と原発が立地している市町村は再稼働を熱望している。
 
原発派(私もその一員だが)から見ると、命とお金、どちらが大切なのか、と言いたくなるのだが、原発に依存しないためには、地場産業を興し、何も生み出さない原発とはおさらばする方策を考えるべきだ。
 
その回答との1つとして、すでにある原発を利用する、日本ではまだ確立していていない廃炉ビジネスが有望視されている。
 
これまでは、大手建設会社が原発関連工事を受注して、そのおこぼれを、地元の弱小土建屋がもらうという構図がほとんどで、地元の産業は衰退することがあっても、何ら発展する要素がなかったのだ。
 
つまり、原発は何も生み出さない、ということをいい加減に気がつくべきなのである、儲かるのは、地元ではなく、東京都知事のように、安全な大都市にいて、アゴで人をこき使っている連中なのである。
 
危険な原発を都市の犠牲になって引き受け、その見返りである交付金や電力会社からの寄付金に頼る生活ではなく、悪の象徴である原発を完全廃止し、その解体を請け負う高度な専門性を必要とする新ビジネスを起業するべきと考える。
 
実験炉でも、数十年の月日と、何百億、という費用が必要であることから、今稼働中の商業用原子炉の解体と放射能汚染物の処分には、その何倍もの時間とコストがかかることは確実である。
 
廃炉ビジネスで時間を稼ぎ、脱原発後に、何をすべきが、じっくり考えればいいのだ。
 
気をつけなければならないのは、これまでさんざん甘い汁を吸ってきた、巨大原子力産業が(三菱、日立、東芝など)、廃炉ビジネスも独占することだ。
 
儲かることなら何でもするのが大企業であり、その節操のなさは、今回の福島原発事故の際にも、除染ビジネスへの急展開を見ていると、廃炉ビジネスにおいても、おなじことが起こると断言できる。
 
国家がきちんと目を光らせて、地元にお金が落ちるように厳重に監視すべきだ。
 
Jan Jan Blog より廃炉ビジネスに関する記事を引用する。
 


「再稼動」より「廃炉事業」で地元が潤う

 すでに筆者が試算(*1)したように、原発のある自治体と、ない自治体で、「課税義務者課税対象所得」「失業率」「住民1人あたり民生費(福祉関係費歳出)」を統計的に比較したところ、有意な差がない。おおい町長は再稼動歓迎を表明したというが、筆者の同記事で示したように、大飯原発の運転開始以後は、地元自治体の商業販売額も低下傾向である。これは、原発の主要な地域経済効果は建設段階の、いわゆる「工事」で発生するためである。つまり、再稼動しても地域経済に大した効果がないことはわかっている。
 もし原発建設段階のような「工事」が欲しいなら、いい考えがある。それは「廃炉事業」を始めることである。原子炉が停止していても、使いかけの燃料棒が発電所内に貯留されていると、福島第一原発の4号炉と同様に依然としてリスクは軽減されない。これを安全に撤去し廃炉処理を実施しなければならない。
 日本で、商業炉の解体撤去事業は実際に行われたことがないので、正確な費用は筆者もわからない。しかしこれまでいくつかの情報で推定されている数字を参照すると、少なく見積もっても「1炉あたり」次のような費用が想定されている。
解体費用 300億円
解体に伴って生じる廃棄物の処分 400億円
施設撤去までの維持費 400億円
運転中に出た低レベル放射性廃棄物の処分 140億円
合計 1,240億円
 これを県内15基(商用路・実験炉)で今後10年間に均等に需要が発生するものとして、産業部門別に推定・整理し、産業連関分析により効果を推定する。その結果、約1,500億円の付加価値と約13,000人の雇用をもたらすと推定される。付加価値の誘発量では再稼動を下回ると思われるが、雇用誘発量では再稼動より大きい。もちろん、処理をていねいにするほど雇用は増える。これらに前述の記事で試算したように、県内各産業の自給率向上を組み合わせれば、再稼動よりも福井県の経済にプラスをもたらす。原発を止めていると地域外からの定期検査関係者が来なくなって、地元の旅館業の人が困っているなどと報道された。それだったら「廃炉工事」を始めたほうがはるかに多くの関係者が、しかも年間を通じて集まるだろう。