それに、被災地をあえて調査から外しており、これなども、都合の悪いところを切り捨てる、という意図が明白である。
この手の世論調査は、質問方法による誘導、があるので話半分、という受け取り方が必要に思うが、大きな媒体である新聞で、その結果が報じられると、一般国民への影響は大きいことから、無視するわけにはいかない。
3.11以降、脱原発、減原発、に賛成の人は確実に増えたことだけは確かだし、国民の原発への関心が高まったことは悪いことではないが、事故自体は出口の見えない状況であることには変わりなく、政府は、相変わらず楽観的な報道で国民の目を誤魔化そうと躍起になっている。
このところ、除染や帰宅、という言葉をたびたび目にするようになったが、これなども、政府や原発推進派の次なる思惑を反映したもので、マスゴミに流し、事故はもう終息に向かっているのだという世論形成を目論んでいるのだろう。
地中深く潜り込んだ核燃料の状態が全く不明であり、汚染状況がつかめない現状において、このような楽観論を振りまくことは極めて危険であり、かつ、具体的な対応策が全くなされていない状況下では、あまりに拙速で政治的都合を優先した対応である。
溶けた核燃料が地中に潜り込んだことにより、空気中への放射能の放出は減少したかもしれないが、土壌や地下水の汚染は確実に進行しているわけで、原子炉の立地が、すぐ海のそばであることから考えて、海洋汚染が憂慮されるが、政府・東電は、何の対策も施さず、相も変わらず、汚染水の浄化、ばかりを取り上げて、うまくいったのいかなかったのと、マスゴミを使っての宣伝活動を繰り広げている。
注水は続いているようだが、以前、満杯であふれそうになっている、と大騒ぎしていた高濃度汚染水は、一体どうなったのか、自然に蒸発して減ってしまったのか、私はとても不思議である。
浄化した水を注水や冷却に使うという腹づもりらしいが、一体、本当のところはどうなっているのか明らかにせず、相変わらずの隠蔽体質である。
さて、話の核心は、世論調査の「時間をかけて削減すべき」という点である。
今すぐ、原発を停止しても、低温冷却状態に持っていき、さらに、核燃料を取り出し、原子炉自体を解体するまでに、相当の年月を要するのだ。
さらに、廃炉にしても、放射能まみれの莫大なゴミの処理方法がない訳で、原発とは、恐ろしく無計画、無責任な行為であり、後世の人々へ、解決策のない問題を強引に押しつけるという、非論理的、無責任の極致なのだ。
今回の調査に答えた人達の多くが、このようなことを勘案して、時間をかけて、と答えているとは到底思えない。
破滅的な事態になっても、相も変わらず、その問題点に目をつむり、解決を先送りにするという無責任極まりない考えは、全く改まることはないのだ。
一言で言うと、時間をかけて、と答えた者達は、今が楽しければいいじゃない、という考えだろう。
鋼鉄製の圧力容器さえも、ガラスと同じようなもろい状態になることが分かっており、危険が増すことだけは確実である。
時間をかけて、という危険な状況を容認し先送りする意見の背景は、国民に原子炉の本質(危険性)を一切説明せず、安全である、絶対に壊れない、とウソを言い続けてきた国と電力会社の洗脳に、国民の多くがすっかり染まってしまっていることのあらわれである。
私は、原発がなければ生きていけない、明るい未来がない、という詭弁を信じ込まされている国民が、少なくとも原発は危ない、と意識するようになったことだけは、未来が少しは明るくなったかな、という程度の感想である。
怖いのは、物欲が強く、贅沢好きで、恐ろしく忘れっぽく、寛容という名の無責任な体質の日本人であることだ。
今は事故が進行中であり、報道もある程度なされているから注目あるが、時間の経過とともに、原発の危険への意識が薄れてしまうことが一番怖い。
原発事故への対応を通して、日本人の人生観や倫理観、正義、が問われいるのだ、実際は。
引用、ここから。
毎日新聞 8月21日(日)21時55分配信
内閣支持率の推移
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【各地の大気中の環境放射線量も】福島原発 図説集
菅直人首相の後継を決める民主党代表選では、エネルギー政策や増税の是非が主な争点になる見通しで、調査結果は選挙戦の動向にも影響を与えそうだ。
首相は東京電力福島第1原発事故発生後、「脱・原発依存」を提唱してきた。しかし、再生可能エネルギー推進策の先行きは不透明。全国規模で広がった電力不足を受け、社会・経済活動への不安も反映し、今回の調査で7割強が段階的な原発削減を求めた。原発を「減らす必要はない」は13%だった。
原発事故に関連し、放射性物質による食品汚染への認識を聞いたところ、「不安を感じる」との回答が「大いに」(27%)と「ある程度」(44%)を合わせて71%に達した。不安を「あまり感じない」は23%、「全く感じない」は4%だった。
民主党が子ども手当など09年衆院選マニフェストの主要政策を見直すことで自民、公明両党と合意したことについては「賛成」が69%で、「反対」(27%)を大きく上回った。賛成と答えた人は、民主支持層でも68%に達した。
野党が参院で過半数を占める「ねじれ国会」を抱え、新政権の運営は引き続き、野党との協力関係が焦点になる。自民党など野党の対応を聞いたところ、「新政権と政策ごとに協力する」という「部分連合」への支持が70%と最多。民主党と内閣を作る「大連立」を望む意見は17%にとどまった。
民主党の支持率は前回と同じ13%。自民党の支持率は6ポイント増の22%で、自民党政権末期の09年の水準まで回復した。「支持政党はない」と答えた無党派層は49%で5ポイント減少した。【中田卓二】
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東日本大震災による被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の一部地域は、今回の調査対象に含まれておりません。