隠された重要データ

毎日新聞より引用
 
 経済産業省原子力安全・保安院などは3日夜、東京電力福島第1原発事故直後に取得しながら未公表だった緊急時モニタリングのデータを公開した。同原発で原子炉格納容器内の圧力を下げる「ベント」作業を始める前に、原発周辺で原子炉由来と考えられる放射性セシウムなどが検出されたとのデータもあり、保安院は精査する。

 公開されたデータは、地震が起きた3月11日から15日までの間に観測した大気中のちりの分析結果など。このうち、3月12日午前8時39分からの10分間に福島県浪江町で、8時37分からの10分間に原発がある同県大熊町ヨウ素131、セシウム137などの放射性物質が検出された。一部は核燃料が損傷することで生成する。

 東電の推計によると、1号機では12日早朝には燃料の大部分が溶け落ちていたと考えられる。しかし、放射性物質を含んだ排気を外部に出すベント成功は同日午後2時半、大量の放射性物質が放出された水素爆発は同3時36分で、今回のデータが正確なら、それ以前に原子炉格納容器の密封性が失われ、放射性物質が外部に漏れていた可能性がある。

 データは当初、同原発に近い大熊町のオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)にあったが、3月15日に事故対策の拠点が福島県庁に移転した際に持ち出されていた。

 二ノ方寿・東京工業大教授(原子炉工学)は「半減期が短いヨウ素131などが検出されており、原子炉から漏れ出した可能性がある。しかしベント前に漏れ出すことは考えにくい。詳細に調べる必要がある」と話す。【足立旬子、中西拓司】

引用、ここまで。
 
 
やっと出てきた、地震発生直後から水素爆発までのデータは、津波で冷却系は破壊されたが、原子炉自体にはなんの問題もなかった、とする政府と東電のこれまでの発表とは食い違いがある。
 
つまり、ベントの前に原子炉内部にあったセシウムが外部環境に出ていたとなると、原子炉本体に破損があり、そこからセシウムが漏れ出た、と考えるのが論理的な思考の流れだ。
 
津波で冷却系が破壊、というストーリーがお気に入りのようだが、冷却系自体も、地震の一撃で、損傷を受けたと考える方が妥当だ。
 
実際、冷却パイプは、原子炉の周辺を編み目のように複雑に配管されていて、耐震性も十分に考慮されていないのだ。
 
東工大の教授先生は、たぶん、御用学者だろうから、曖昧な言い方をしているが、ど素人が考えたって、地震による原子炉本体の破壊があった、と考えるのが合理的に思える。
 
地震による原子炉の破壊、は日本ではあってはならないことであり、原子炉が地震などでは壊れない、という妄想の上に、日本の原子力政策は行われてきたので、このデーターは、これまでの政府と東電のごまかしを、すべて覆すほどの衝撃的な内容である。
 
たぶん、米国はこの事実を知っていて、だからこそ、破滅的な結末を予想して、あわてて米国人を日本国外に避難させたと想像する。
 
幸運にも、原子炉自体の大爆発は起こらなかったが、困難な状況には変わりがない。
 
原発推進論者と目されている大前研一が、早々に、このことを指摘していた。
 
つまり、環境に放出された放射能の核種とその線量を調べれば、原子炉の破損状態が分かるということだ。
 
政府と東電は、原発地震で壊れた、ということを隠すために、これまで最も重要なデータを隠してきたが、この犯罪的な情報操作は、果たして、国家といえども許されるべきものだろうか。
 
情報の隠蔽によって、迅速な避難が出来ずに、莫大な被曝をした福島の人たちに何と言い訳するつもりだろうか、いや、言い訳など出来るはずもない。
 
犯罪である。
 
結論、原子炉は、震度6の揺れで、その重要箇所が破損し、原子炉内部にあった放射性物質が環境に放出された。日本国内で運転中の原子炉は、地震により破壊される可能性が高く、極めて危険な状況にある。よって、直ちに運転を停止し、廃炉とすべし。