東京新聞より転載
難関大学への進学指導を重視する「進学指導重点校」に指定されている都立高七校の進学状況が二十七日、都教育庁から都教育委員会定例会で報告された。六校は「実績向上が十分ではない」との説明があり、委員側は各校長の意見を聞くなどして、指導方法の改善を検討するよう求めた。
内館牧子委員は「重点校を入れ替えたらどうか。相撲でも負け越したら三役を落ちる。きちんと対応してほしい」と発言。他の委員からも趣旨に賛同する声が出て、指定期間の一二年度までは続けるが、指定の延長は指導のあり方を検証する必要があるとの意見で一致した。
長い転載で、そのうちクレームが付くかもしれない。
この事実は、私が、ブログで繰り返し訴えてきたことである。
特定学校を持ち上げるために、他を犠牲にしただけ、という結果だ。
恐ろしいのは、この策謀の裏には、不人気になった学校を廃止し、あるいは、統合して、学校を減らそうという意図があることだ。
もう、付け焼き刃の、パフォーマンス型進学実績稼ぎ(都立高校の復権と呼ぶらしい)は、終わりにするときが来たということだろう。
この予想は、たぶん当たっていると思う。
進学実績稼ぎに奔走する新興私学が使っている手口だからだ。
都立高校は、新興私学の受験対策を、そのままコピーしていて、何一つ自分で努力していない。
今回、明らかとなった、都立高校の大学合格実績の解釈は、私には、簡単に思える。
つまり、国立や公立は、受験機会を増やすことが出来ないが、私立は、お金を出せば、そして、日程さえ合えば、いくらでも受験できるからだ。
とくに、最近の私学は、受験機会をなるべく増やし、受験料収入を稼ごうと一生懸命で、私の頃などと比べたら、同じ学科でも、何度も受験可能だったりする。
エース級の生徒が20~30人いれば、1人がMARCHレベルの大学に2、3校合格すると考える。さらに、そのうちの何名かが、慶応、早稲田、の様々な学部に、複数合格する。
当然、東京都の大好きな東大、東工大、一橋などにも、合格者が出るだろうから、エースだけで、のべの合格者数(合格実績)は、MARCH100名合格、慶応15名、早稲田30名、などとなる。慶応合格者が、そのまま、東大などの最難関校合格者となる。
エース以外も、そして、浪人生も、これら銘柄大学に合格する者がいるから、全体では、さらに2倍の合格者数となり、すばらしい、合格実績をあげたように見せかけることが出来るのだ。
まさに、全員が、MARCH以上に進学!ということとなるのだ。
日比谷高校が、ぴったり、この数字ではないか?
私立新興進学校が、優秀な生徒に、お金を補助してまでも、多くのブランド大学を受験させる背景には、進学実績をよく見せかけるための、こんなからくりがあるのだ。
まさか、東京都がやるようになるとは、私が都立高の生徒だった頃には、とうてい予想も出来なかったことだ。
ほんとうに、下品な教育組織に成り下がったものだと思う。
偏見を承知で申し上げるが、地方の公立トップ校の出身者で、東京都に居住している人の中に、公立信仰が強い人がいて、かつ、声も大きいので、そんな人たちに公教育が引っかき回されているのではないかと、私は、前々から感じているのだ。
田舎の秀才が、田舎の状況を、東京都でも実現しようとしているのではないか?
高学歴集団であるこの田舎の秀才たちは、イシハラとは相通じるものがあると、私は思うし、この手の連中は、千葉に近い湾岸の(葛西あたり)、都心へ30分もかからない、新興住宅地に居住しているのではないか。
この地域が、日比谷高校に多数の合格者を出していることが、その証左ではないか。
都立高校に入学するために通塾が必要になるなどという、金のかかる公教育が、何の反省もなく推進される背景には、数では絶対的に少ないイシハラシンパへの大サービスと、差別社会、格差社会を善とする思想の反映に他ならないと、私は考える。
もう、やめにしたらいいのに、欺瞞に満ちた、無意味な、都立高校の復権、は。
相撲じゃないのだから、入れ替え、などと馬鹿げたことを行っていないで、大掃除(都立高校の復権活動をやめる)が必要だ。
問題は、箱物(中高一貫校)を作ってしまったことだろう、今後、どう運営するのだろうか、公教育の中に、特定の社会階層に利益をもたらす特権的学校など作るべきではない。
バカなことをしたものだ。