桜の季節ですね

さくら、サクラ、桜、どれで書き出そうか、迷った。
 
漢字で書き出した。
 
さくら、だと優しげだが、弱さがある。
 
サクラ、だと自己主張が強い。
 
それに、カタカナ表記は、生物の和名を表記する決まりに則っているので、堅苦しい印象がある。
 
それで、落ち着きがある、桜、にした。
 
ひらがな、カタカナ、そして、漢字。
 
ひとによって、同じ言葉でも、表記が違えば、印象も違ってくるだろう。
 
このところ、実験が深夜に及ぶことが多く、夜桜見物しながら家路についている。
 
幸運なことに、日本では、随所に桜が植えられていて、この時期、桜を目にしないことはない。
 
私の通勤路には、大木が多く、その広大に広がった枝一面に付いた桜の花が、風に揺れ騒ぐ様子は、なかなかの見物である。
 
写真をお見せできないのは残念であるが(ランドマークが多く、どこかすぐ分かってしまう)、深夜、そして、早朝の静寂の中に、しっかりと花を咲かせた桜は、私の精神を浄化してくれる。
 
桜は、散る様より、ひとひら、ふたひら、とほんの僅かに花びらを落とす風情が、微妙に感じて、私は好みだ。
 
花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは、と兼好法師は言ったが、散りゆくさまは、ものの終焉を予感させて、もの悲しくもあり、今の私には、好ましいものではない。
 
はなを見て思うことは、年齢とともに移ろうものかもしれない。
 
微妙に花びらを落とす桜が、今の私は、一番気に入っている。