WEBテスト?による入社試験から考えた

インターネットの普及で、就職試験(第1段階?)を、コンピュータ画面上で行う企業が増えたようだ。

ある統計によれば、半数近くの会社が採用しているらしい。

インターネットにつながるコンピュータがあるところならば、どこでも試験を受けられるらしい。

このシステムの問題点は、誰でも思いつくが、身代わり受験が簡単にできるということだ。

現に、身代わり受験して成功した、とか、自力でやって、不得意科目ができず(文系でも数学が課せられる)落とされた、という報告が、ネット上に、多数上がっているらしい。

私は、へそ曲がりなたちなので、このシステムを導入している会社は、まじめな人事採用をしていないと考える。

性善説に基づいている、と企業の担当者はおっしゃるが、私は、利潤追求が目的で、ボランティア団体でもない企業が、本気でひとを無条件に信じる、なんてことはとても理解できないし、そんなことをいう会社は、うさんくさく思う。
私の想像だが、その手の会社は、縁故採用、コネ採用が主で、社会的宣伝活動の一環として、公募しているかのように見せかけているのではないか、と考える。

この想像は、当たっているように思えるのだが。

私は、ある民間企業で働いたことがあるが、その会社も、技術系はほとんどがコネ採用だった。

でもである。公募して、入社試験もやっていた。

何百人も受験にきていたが、あれは、ひどい話だったと思う。

入社試験前に、内定者が出そろっていたし、国立大学の有名校で(旧帝大というやつ)、ちょっとコネがあれば、内定が比較的簡単に出ていた。

もうずいぶん前のことで、現在の状況は、これとは違っていることだろうが、本質的な考え方が変わるとは到底思えない。

知り合いに、私がつとめていた会社の入社試験を受けたという人がいたが、その人はコネがなかったようで(弱めのコネだったかも)、大勢と混じって入社試験を受けたあげく、落とされたらしい。

偉そうなこといっているが、実は、私もコネ入社なのである。

WEBを使ったテストや、出身大学によるあからさまな差別が就職活動にはあり、かつ、大学教育を無視した、企業側のペースですべてが運ぶ状況が、最近は強まっている。

大学は、学問をするところではないのか、などという青臭い議論は、全く通じない世の中である。

大学は、就職活動の場だけになっている現状を、大学教員は、苦々しく感じている。

学部によっては、就職活動に必用な要件を身につけることが、学部教育に直結するという場合もあるが(たとえば経営とか経済)、すべてが、企業の都合に合わせた学問でなければならず、しかも、そのような学部教育を受けたものでなくては、就職が難しいとなれば、日本の大学教育は、専門学校そのもとなり、良質な学問が育たなくなるだろう。

経団連だかどこかのお偉いさんが、大学は企業の意向にそった人材育成をしてもらわなくては困る、と放言していたが、これが会社側の本心なのであろう。

だから、そのように社会が誘導されているし、お金を持っている者には逆らえない、という資本主義の悪しき側面が、完璧なまでに実現しているのが、現況だろう。

そこで、またひねくれた考えが浮かんできた。

学問は、一握りの選ばれし者たちによって行われればよい、という社会への方向付けが強化されつつあるのか、という考えだ。

まさに、格差社会、そのものである。

学問も就職も、選ばれし者たちは、あくせくせず、余裕を持ってできるような社会に、向かいつつあるかのように、私には思えるのである。

その他大勢は、まさに、奴隷となって、この選ばれし者たちを支え、死ぬまで搾り取られ、あくせくし続けなくてはならない社会に変わりつつあるのかもしれない。

いまが、そんな社会にNOを言うときなのだが、国民の反応の鈍さは、一体どうしたことだろう。
 
それでは、と子供を銘柄学校に入ればよいのだろうと、考える人が多いが、この学力向上競争に巻き込まれ、疲弊するのは、経済的弱者であることは、誰もが痛感していることなのだが、黙々と現実を受け入れている一般民衆が、なんと多いことか。