正月の過ごし方

例年、正月は、研究室に一寸出かける以外は、家でのんびりしている。

最近は、箱根駅伝が、一番の楽しみである。

どうでもいい、お笑い芸人の、代わり映えのしないダラダラ番組が多くて、鬱陶しい。

駅伝は、子供の学校が出場しているので、どうしても応援に力が入る。

それに加えて、非常勤講師をやってる学校も出ているので、こちらも、なんとなく気になる。

1月の、寒空、それも、あんな山登りがあるようなコースを走る学生諸君には、敬服する。

大体、陸上競技は、この時期、オフなはずで、それを、わざわざやると言うところに、この駅伝のすごさがある。

陸上競技の延長というより、なにか特別な競技大会、といった様相を呈している。

母校の名誉をかけて、とか、仲間の思いをつないで、とか、まことに、感動的ではあるが、私が心配なのは、この時期に、こんな過酷なレースをすることで、学生の故障が誘発されてしまうのではないか、ということだ。

最近、レース中に、疲労骨折を起こして、リタイアする例が何回かあったが、あれなども、無理に無理を重ねた結果で、学生の競技人生に重大な悪影響を与えているのではないか、と心配になる。

これだけ、世間に注目されてると、いまさら、大幅な変更は不可能だろうが、例えば、開催時期の変更とか、通常の陸上競技ではあり得ない、あまりに急激な山登りや山下りは廃止する、などという対策は無理であろうか。

気になるのは、箱根駅伝で名をはせた選手で、大学卒業後、例えば、オリンピックで活躍した、と言う選手が少ないことだ。

箱根駅伝は、見せ物的には、色々な要素があって、それはそれでとても面白いものであるが、陸上競技という観点からは、果たして、日本の長距離界の育成に、直接的に係わっているのか、私には、判然としない。

箱根を走ったあの選手が、何とかマラソンで好記録を出したとか、オリンピック代表になった、と言う話はあまり聞かないような気がするが、いかがであろう。

箱根を走りたい、という思いが、陸上競技をやる動機になっていることは承知しているが、過熱した人気が選手に無理を強いて、それがもとで、選手生命を短くしてるなら、そのあり方を、真剣に議論すべきと考える。

箱根駅伝5区の山登りで、勝敗が決まってしまう、という傾向に関して、憂慮する意見が出始めているようだが、自分たちのチームの利害だけを考えた身勝手な要求で終わらせることのないように、しっかりとした議論をやって欲しい。

とは言っても、劇的な順位の入れ替えは、昔から、箱根の山登りと山下りで起こっていたのであって、何を今更、という感はある。

日本選手が努力して、新しい技を開発すると、それに必ず制限をかけようとする運動競技があるが、それと似たような、何ともスッキリしない問題提起である。

何が問題なのかと言うことを明確にして、しっかり議論してほしい。

箱根駅伝批判的はさておき、私としては、駅伝に人が憑かれるのは、走る、ということが人間の基本的な動作であって、生理的に心地よい感覚を、見る者にも与えてくれるからかもしれない、と1人勝手な解釈をして、マラソンや駅伝を楽しんでいる。