専門外の実験をする

このところ、自分の専門外の、細菌学関係の実験をやっている。

ある現象を観察していて、どうも、細菌が関与しているようなデータが取れたからだ。

といっても、遺伝子組替えは、これまで死ぬほどやったが、古典的微生物学は、学部の時以来で、近くにいる、専門家に、聞きまくって、実験を進めている。

こういうとき、色々な分野の人間が集まっている大学ってありがたいと思う。

それにしても、この頃は、昔に比べて、細菌などの病原体の扱いが、厳しく規制されるようになった。

確かに、遺伝子をいじくり回す世の中になったので、何が起こってもおかしくない状況ではあるが、そこいらにいる細菌や、自分自身で飼っているようなものまで、色々と取り決めがあり、それを遵守しなくては、実験はダメ、となっているのだ。

大学とは、何をやってるか得体の知れない危険なところ、などと思わないで欲しい。

法令遵守

どうも、背景には、バイオテロの問題があるようだ。

バイオテロに使えそうな病原体は、厳重な管理下に置かれるようになった。

法令の改正に合わせるように、研究室の冷凍庫の奥深くに眠っていた、年代物の、危ない病原体の多くは、一気に処分されたようだ。

たまには、異分野の勉強をして、実験をするのも良いものだ、なんて、今は呑気なことを考えている。

硬直した頭をほぐす、絶好の機会だと自分に言い聞かせ、セコセコ、よその研究室に出入りする日々が、当分続きそうだ。

これを突破すれば、全く新しい展開が期待できそうで、実は、ワクワクして、毎日を暮らしてるのだ。

ちょっと、幸せな、珍しく幸せな、日々を送っている。