桑の木とタヌキ

日曜日、久しぶりにお気に入りの場所に行ってきました。

東京の多摩丘陵にある緑地です。

谷(谷戸っていう地形でしょうか)になっているところを公園のように整備してあります。

池があり、その周りには、幹が一抱えもある大木になった桑の木が何本もあります。

熟れた実を辺り一面にまき散らしていました。

私、桑の実を食べるのが好きです。

熟れた実ではなく、ほどよい酸っぱさが残っているのがお気に入りです。

枝を引っ張って手元に引き寄せ、食べ頃のを探します。

休みでも、滅多に人が来ないので、静かで、落ち着ける場所です。

木々の緑に目を休めて、桑の実を味わっていたら、ガサゴソという音が、私の方に向かってきました。

音のする方向に目をこらすと、タヌキがすごい勢いで、目の前を通り過ぎました。

そして、私の目の前の藪に飛び込んで、姿を消しました。

何でそんなにあわてていたのかと、辺りを見回すと、タヌキが走り出てきたと思われる、公園のすぐそばにある畑でおばさんが農作業していました。

そして、そのすぐそばで、茶トラのネコがタヌキの走った方向をじっと見つめていました。

なるほど、と私は合点がいきました。

タヌキは、たぶん、自分の通り道をおばさんとネコにじゃまされて、慌てていたんですね。

この地域は、タヌキをよく見かけます。

交通事故にあって絶命したタヌキが道に転がっているところを何度かみたことがあります。

タヌキと出会った後、公園の柵に腰掛け、のんびりとした時間を過ごしました。

昔は、そんな時でも、頭を働かせて、研究のことを考えていることが多かったのですが、最近は、何も考えず、ボーっとしています。

この緑地の、桑の大木は、一体何時からここにあるんでしょうか。

多摩地区は、昔、養蚕が盛んだったので、その名残なんでしょうが、よくもあま、ここまで育ったものです。

ある年には、自身の重みのせいか、太い枝が、見事に割れていました。

桑の木は見た目には柔らかいので、大木にはなるまいと、勝手に思っていたのですが、ここのは皆立派で、元気に毎年沢山の実をつけます。

何時までも、人気のない秘密の場所であってほしいものです。