なんだか面白そうだ!

色々な野生ネズミを飼っていたT先生が退職され、困っています。

T先生はよその大学の教授だったのですが、偶然にも、近くにいらっしゃったので、共同研究という形で材料を提供していただきました。

大学って、色々な研究をしている人がいるものです。

高校生には研究の詳細を知る機会がほとんどないと思いますが、単にブランドや偏差値だけじゃない学校選びが出来たらいいんですけどね。

ある特定の学問領域を勉強したい場合、例えその大学のカリキュラムに載っていても、実際は非常勤で賄っている場合があり、深い勉強が出来ないこともあります。

学問領域によっては、大学自体の難度は落ちるけど、その分野では一流の教員を揃えているという大学もあります。

ホームページを作って情報を提供する必要もありますが、高校生自身も色々と体と頭を動かして、自分の興味ある分野について調べて欲しいものです。

いまの子供たちは、与えられることに慣れすぎています。少し苦労していただきたい。


面白いから研究するという単純な動機から始まるのが科学だと私は考えるのですが、それでは研究が成り立たない場合がほとんどです。

あれこれ研究する理屈を考えて、研究費を申請し、競争的研究費の獲得、ということをやるわけです。

T先生も、色々と苦心されていました。野生ネズミの生物学では、なかなか研究費が取れませんから。

病気と関連付けて、疾患モデル動物というレッテルを貼ったネズミを宣伝する必要があったりして、本当にやりたいこととは少しはずれてしまうのですが、研究費獲得のためには致し方在りません。

いま、競争的研究費の獲得が、その人の研究者としての能力を評価する際の目安として、以前にも増して強調されるようになりました。

テーマによっては、研究費が取りにくい分野もあります。

世間の注目度の低いテーマにはなかなかお金が付きません。

それと、コネも大切です。人間のやることですから。

なんだか、厄介ですね。面白いからやる、じゃいけない!と言われているようで、科学に対する基本的な姿勢さえも、お金で縛られ、変質させられるようで、残念です。

研究云々はさておき、面白そうだから研究してみる、という体験をもっと子供たちに味わって欲しいものです。そんな機会と余裕が持てる教育改革であって欲しいと願う、貧乏研究者です。