動物による癒しと動物の癒し

最近、獣医や畜産関係の大学に、動物による癒しを目的とした、学科の設置が相次いでいる。

ペットを飼ったことがある人なら、なんとなくわかると思うが、ペットとふれあうことで、心和む時間が過ごせる。

犬は、元来、人への依存性があり、人とのつながりの中で、自分の生きる道を見つけ、そこに安住する傾向にあると思う。

ところが、動物によっては、人にいじくり回されることを好まないものもいるはずだ。

日本が豊かになるにつれ、変わったペットを飼う人が多くなったが、そのペットたちは、人に飼われることを本当に喜んでいるのだろうか。

人間の癒しばかりじゃなく、ペットたちの癒しも十分に考えて欲しいものだ。

動物のメンタルケアは、まだ始まったばかりだ。人材も十分とは言えない。

ある大学の教授に聞いた話だが、この手の新学科の設置申請をしようとすると、学問的にしっかりとした人材を集めるのがむずかしいらしい。

自己流でやってきたような人や、アメリカで、ちょっと聞きかじってきた程度の人などがほとんどで、設置基準を満たすのに相当苦労したとのことだ。

僕も、アメリカでほんの数年聞きかじってきただけで、派手な活動をしている人を知っているが、そんな程度でも、日本ではもてはやされている。

この動物を中心に据えた?癒しの学問領域が、ペットブームに便乗したもので終わらなければよいのだが。

大体どこに就職するつもりなのだろうか、この手の学科を出た学生は。

そんなことまで心配してしまう。