不平等社会日本

「不平等社会日本-さよなら総中流」(中公新書)の著者、佐藤俊樹さんは、「機会の不平等」が日本の階層化を助長する原因となっている、と指摘した。この階層化、日本社会のポテンシャルを低下させる大きな要因になると私は思う。

分かりやすい例として、教育がある。裕福層は子供の教育にお金を惜しみなく使えることにより、その子供が有名進学校、有名大学に進む確率が高くなっている。第二次世界大戦後、公立の学校が安価で質の高い中等教育を提供する時期が続いた。ところが、経済的にゆとりができて、教育が商品化されるようになってからは、大学受験に不利な公立校は衰退し、代わって、私立中高一貫校がもてはやされるようになった。そして今、首都圏では、私立優位の状況がさらに加速している。

経済的に苦しくても、やる気と能力があれば、質の高い教育を安価に受けれるように、国が主導してほしい。教育の場に、経済を持ち込まないでいただきたい。社会の階層化が急速に進む中で、経済的理由によって、子供に教育の機会を与えることのできない暗い社会に成り下がりつつあると思う。この状況が続けば、国民全体の基礎学力が低下し、日本の国力は衰退していくだろう。

教育は、社会主義であるべきだ。そして、教育は、国家の最優先課題と考える。