火垂るの墓

テレビドラマで、火垂るの墓をやっていた。なんか、アニメとそっくりな情景描写だなあ、と思って、気を抜いてみていたら、最後になって、一気に落としてくれた。

私の思い違いならいいが、戦争では、なんとしてでも生き残ることが美徳のようなニュアンスのシーンが最後にあり、ビックリしてしまった。罪のない幼い子供が犠牲になることが戦争の悲惨さなのに、それが、戦争状態にあれば、一般市民でも、他人を犠牲にしてまでも生き残ることがすばらしいことだ、と言うメッセージに受け取れるラストであった。

エンディングは、音楽と戦争状態にある地域とおぼしき国の子供達の写真を流し、反戦を暗に叫ぶようなポーズを取っていたが、私には偽善に思えた。

日本テレビの制作者は、戦争をどう捉えているのだろうか。とても心配になった。戦争は、サバイバルだ、さあ、生き抜いてこそ、価値ある人生だ、とでも言いたかったのか?最後に、日本テレビの制作者は戦争が善なのか悪なのかという明確なメッセージを出すべきだった。

イメージで片づけて、言葉にしない手法も、それが真に洗練されていたら納得できるものだが、このドラマは、私の目には、ただのテレビドラマにしか映らなかった。お涙頂戴の箇所は、気合いの入った演出がされていたようだが。

叶わぬことだが、野坂昭如氏の感想を聞いてみたいものだ、と思った。