汚染米生産への援護射撃

2月29日(水)の朝日新聞の夕刊に、悲しい記事が載った。
 
汚染米を精米し研ぐと「セシウム7割除去」、という報道がそれである。
 
汚染米を生産し、食べる可能性がある地域では、福音、なのかもしれないが、大人はともかく、そこまでして、危険な汚染米を子供に食べさせるのだろうか、と私は瞬間的に考えた。
 
この研究は、原発推進機関である放射線医学総合研究所(放医研)という、東大の下部組織の、田上恵子、という人物が、環境放射能研究会、というところで発表したものだ。
 
田上研究員は、「国の検査は玄米で測っており、例え数十ベクレルの値が出ていても白米を研げば、三分の一以下になる。安心して食べて欲しいと、コメントしているが、このコメントを皆さんはどう受け取るだろうか。
 
この人は、名前からして女性のようだが、もし、子供がいたら、それも幼い子供がいたら、汚染米を精米度合いを高くして食べさせるのだろうか。
 
それで、安心、するのだろか、この人は。
 
福島の子供は、汚染米をこうやって食べろ、とでも言いたいのだろうか。
 
この人物は、その所属組織からして、原発推進派であり、こういった惨い研究結果を示し、汚染米を食べても平気ですよ、という神経が私には全く理解できない、本人は、いいことでもしているつもりかもしれないが。
 
田上研究員に聞きたい、精米して除いたセシウムを含んだ糠、米粉、は一体どうするつもりなのか、と。
 
さらに聞きたい、汚染米を精米した精米機は、汚染されてしまうが、それはどうするのか、と。
 
放射能は消滅しないのである、存在する場所が米から、精米したカスに移動しただけであり、その処分も大きな問題となるのだ、まさか、田上さんやその所属組織の放医研が引き取ってくれる訳じゃないだろうに。
 
挙げればきりがない、この人物の研究の矛盾と独善は。
 
大人は勝手に被曝すればいいのであって、問題は、子供の被曝線量を可能な限り低くする(ゼロにはもはやできない)ことが、現代科学が放射能被曝に関して到達した結論であり、これは、どんな屁理屈を持ち出しても、例えば、疫学、というファクターを操作することで、いかようにも結果が操作できる学問を使って、健康被害がない、とウソをついても、真実を歪めることなどできないのである。
 
4月までに何とか原発を再稼働しようと政府は必死であり、加えて、米の作付け準備が迫っていることから、このようなインチキ研究を宣伝して、汚染米の生産を合法化しようと考えているのだろう。
 
あまりに露骨な人命軽視に、この国の支配階層の冷酷さと非人間性に、私は恐怖し、絶望する毎日である。
 
参考として、この人物が、福島第1原発事故後に、講演会で話した内容を、以下に転載する、これを読めばバリバリの推進派であることがよく分かる。

 
むやみに怖がらず正しい放射線知識-【千葉日報
 千葉市中央区の市生涯学習センターで17日、放射線の子どもへの影響などを紹介する「放射線基礎講座」が開かれた。子ども連れの母親ら約250人が参加し、講師を務めた放射線医学総合研究所(放医研、稲毛区)の研究員は、放射線の基礎知識や食べ物への影響などを解説し「放射線をむやみに怖がらず、正しく怖がって」と呼び掛けた。 講座は福島第1原発事故を受けて開かれ、放医研の神田玲子上席研究員と田上恵子主任研究員が解説した。 神田研究員は市内の放射線量測定値は微量で「あまり神経質にならないで」とした上で、妊婦や授乳中の母親の生活について「野生の山菜、きのこは大量に食べないでほしい。マスクの着用とうがい、手洗いを心掛けて」と指摘した。 乳幼児の外出についても、原発方面からの風向きに注意して「ベビーカーは室内に置き、風のない日を選んで散歩させてあげて。雨対策は傘とレインコートで十分」と述べた

引用、ここまで。
 
私の感想
 
この人物、結局、放射能は危険だ、と認めているわけで、危ないから被曝するな、と言っているのだ、なにが、むやみに怖がらずだ、恐ろしほどの偽善者である、原子力推進派、原子力村の人間とは、自己矛盾を平然と講演会で話してしまうというように、感覚が大きく麻痺しているようだ、哀れな生物である。