原発推進派の反攻が激化

今日の朝日新聞の朝刊を見て、ビックリした。
 
一面すべてが、原発推進擁護の記事で埋め尽くされていたからだ。以下の2点がそれだ。
 
1.本社調査と称する、福島と他県(関西など)における、家庭で食べている食品中の放射能測定のその比較
 
2.大飯原発、ストレステストという単なるコンピュータゲームによる安全性審査に合格(=安全と言いたいらしい)
 
 2.に関しては、はじめから合格させるシナリオで計算が実行されており、全く説得力がなく、ストレステストが各原発の安全性を担保したり、高めたりするという、実際的な検査や補修など一切ないのだ。ストレステストを引っ張り出してきたときには、ネット上でも、これで安全が確保されるかのような、やらせ記事が蔓延していたが、その内容は、完全なインチキである。
 
1.については、朝日と京大の学者が共同で行った調査らしいが、客観性、中立性に問題が大いにある。大体、福島県の住民が、事故前と同じ食生活などしているはずもなく、一面では記載されていなかったが、後ろの紙面で、家庭によっては、調理の方法を変えたり、地場産、自作の食物を控えるなど、被爆をなるべく少なくする工夫をしている様子が描かれていた。
 
現状ではどうか、ということで、他県との比較には問題ないという理屈だろうが、福島県民に多大な負担と危険を押しつけていることには変わりなく、朝日新聞が言うところの、国の基準の1/40だから安全!と断定して、危険な汚染地域に住民を縛り付けようとする国の悪だくみを直接援護する内容と私は考える。
 
記事にもあるが、3食(1日3食と言うことか)の合計の放射能レベルが、関西では、ゼロに限りなく近く、それに対して、福島では平均的な値が4ベクレルとなるらしい(この数値の扱いが実は問題なのだ)。福島の値が国の基準の1/40だったからといって、他県と比べたら、低線量による長期間の被爆というリスクは相当に高いと考えるべきだ。国の基準値自体、政治的な判断で決まっているのであって、科学的には、放射能被爆はゼロであるべきなのだ。
 
サンプリング方法(はじめから調査の意図を知っているのだ被験者が)や統計処理による誤魔化し以外にも、この調査には大きな落とし穴がある。
 
人は食物だけから放射能を取り込むわけではく、空気を介して、そこら中に漂っている放射性物質を、持続的に摂取し続けているのだ。汚染地域の土壌は風に乗って運ばれ、それを呼吸するときに住民は取り込んでしまうのだ。
 
さらに言うと、常時、外部被曝を受けているわけで、これらを総合すると、汚染地域では、相当量の被爆を受けることになり、無責任に、1/40で安全!などと言い放っていいはずがない。
 
しかしだ、結局は、住民がどう判断するかにかかっているわけで、国策で、汚染地域に何が何でも住民を縛り付けようとしているだから、自分の身は自分で守るしか選択肢はないのである。
 
いつも同じ結論に達してしまうが、本当に非情で悪辣な国家である、ニッポン、とは。
 
以下に、朝日の記事を引用する。


福島の食事、1日4ベクレル 被曝、国基準の40分の1

 家庭で1日の食事に含まれる放射性セシウムの量について、福島、関東、西日本の53家族を対象に、朝日新聞社京都大学・環境衛生研究室が共同で調査した。福島県では3食で4.01ベクレル、関東地方で0.35ベクレル、西日本でほとんど検出されないなど、東京電力福島第一原発からの距離で差があった。福島の水準の食事を1年間食べた場合、人体の内部被曝(ひばく)線量は、4月から適用される国の新基準で超えないよう定められた年間被曝線量の40分の1にとどまっていた。
 
 調査は昨年12月4日、全国53家族から家族1人が1日に食べた食事や飲んだものをすべて提供してもらい行った。協力家族の居住地は、福島県が26、関東地方(群馬・栃木・茨城・千葉・埼玉・東京・神奈川)が16、中部(長野・愛知・岐阜・三重)、関西(大阪・京都)、九州(福岡)など西日本が11。普段通りの食材で料理してもらった。福島では、地元産の野菜などを使う人が多かった。
 
 1日の食事から取り込むセシウムの量は、福島県内に住む26家族で中央値は4.01ベクレルだった。この検査法で確認できる値(検出限界)以下の正確な値がわからないため、平均値ではなく、検出値を順に並べて真ん中に当たる中央値で分析した。
 
 この食事を毎日1年間、食べた場合の被曝線量は0.023ミリシーベルトで、国が4月から適用する食品の新基準で、超えないよう定めた1ミリシーベルトを大きく下回っていた。福島でもっとも多かったのは、1日あたり17.30ベクレル。この水準でも年間の推定被曝線量は0.1ミリシーベルトで、新基準の10分の1になる。原発事故前から食品には、放射性のカリウム40が含まれており、その自然放射線による年間被曝線量は0.2ミリシーベルト(日本人平均)ある。セシウムによる被曝線量はこれを下回った。
 
 調査した京都大医学研究科の小泉昭夫教授は「福島のセシウム量でも十分低く、健康影響を心配するほどのレベルではなかった」と話している。