過激な自己陶酔

面白い記事があったので、引用する。
 

大連立は公武合体 必要なのは倒幕だ!

産経新聞 12月11日(土)9時45分配信
【笠原健の信州読解】

 もしかしたら大連立に向けた動きが急浮上するかもしれない。そんなことを予感させる出来事があった。たちあがれ日本の共同代表、与謝野馨氏が11月18日に菅直人首相と首相公邸で約40分間会談し、その与謝野氏が今月19日に民主党小沢一郎元代表囲碁の対局をするという。与謝野氏は平成19年10月に当時、民主党代表だった小沢氏と囲碁を行い、その直後に自民党民主党による大連立騒動が起きた。そのことを想起すれば、どんなに鈍感な人間でも政局の臭いを感じ取るのではないか。だが、大連立は公武合体でしかない。しかもその公武合体政権はリベラル勢力が主導権を握り、保守勢力は駆逐されてしまう恐れが大きい。

 日本を取り巻く今の状況は、黒船来航によって幕府の権威が一挙に揺らぎ、動乱の刻を迎えた幕末以上の激動下にあるといえる。大東亜戦争の敗戦後、日本国民は泰平の世で惰眠をむさぼり続けてきた。

 旧ソ連の軍事力による恫喝、中国の核実験と急速な軍事増強、北朝鮮による日本人拉致事件、そして弾道ミサイル発射と核実験…。日本の安全が脅かされ、日本人の生命に直接、危害が及ぶような事件があっても日本は目覚めようとしなかった。だが中国漁船による領海侵犯事件は、21世紀の黒船来航ともいえる衝撃を日本に与えたといえる。

 国際社会は、日本国憲法が「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と謳ったような甘い世界ではないということをこの事件を通じて日本国民はようやく理解し始めた。

 大連立論は、民主党が政権を任せるにはあまりにもふがいなく、参院で野党が多数派を形成する「ねじれ国会」の下では国会運営がスムーズにいかず、果断に政策が実行できない、ということが起点となっている。

 民主党政権下で毀損した日米同盟をはじめとする外交・安全保障政策の再建、少子高齢化による社会福祉政策の見直し、後手に回った自由貿易協定(FTA)の推進や成長戦略策定などの経済政策…。大連立によってこれら喫緊の課題に対処していこうという狙いがあるのだろう。

 幕末には公(朝廷)と武(幕府)が一体となって難局に当たろうという考えが朝廷、幕閣、諸大名の間で勢いを得て、孝明天皇の妹、和宮が第14代将軍家茂に嫁いだ。しかし、公武合体は結果的に失敗。薩摩藩長州藩が手を握り、時代は倒幕、そして明治維新に向けて動き出す。

 大連立にあたってはもっともらしい大義名分が掲げられるだろう。だが、所詮は民主党政権の延命でしかない。中国漁船による領海侵犯、ロシアのメドべージェフ大統領による国後島訪問、そして北朝鮮による延坪島の砲撃…。これらの出来事で明白になったのは、日本を取り巻く国際環境は戦国時代とほとんど変わらない覇権の横行下にあり、少しでも隙を見せれば侵略され、併呑される恐れがある、ということだった。

 こうした状況下で、国家主権への関心が希薄で国民の生命や財産を守ることへの意思が薄弱な民主党政権が存続すること自体が、日本にとって、そして東アジアの安全保障にとって極めて危険なことだといっていいかもしれない。

 1994年春の朝鮮半島危機の際、対北朝鮮軍事計画の指揮を執ったペリー元米国防長官は、北朝鮮が韓国に侵攻した場合の最大限の懸念は日本の対応だったと日本経済新聞に対して明らかにしている。

 ペリー氏は12月2日付の日本経済新聞朝刊で、朝鮮半島で戦争が勃発した場合、在日米軍基地をフルに活用して、軍事物資や追加兵力を戦地である朝鮮半島に送り込むことが有事計画の骨子だったと指摘。日本政府に対して在日米軍基地使用の事前許可の確約を求めようとしたことを明らかにした。

 ペリー氏は、北朝鮮が予想外の無謀な行動に出た場合、日本は賢明な判断を下すと信じてやまない、としているが、民主党政権朝鮮半島有事で的確に対応できると信じている日本人がどれほどいるだろうか。中国漁船による領海侵犯事件での右往左往ぶりをみれば民主党が毅然とした対応をするというのは夢想にしか過ぎない。

 大連立によって谷垣禎一総裁が率いる自民党が政権に入ることになっても所詮は同じだろう。谷垣氏は系譜的にいって宮沢喜一元首相や加藤紘一元幹事長らと同じ党内左派に属する。菅直人首相や仙谷由人官房長官はもちろん、リベラル思想の持ち主だ。思想的に党内左派に属する谷垣氏らと菅首相らの提携は結果的にはリベラル勢力の結集でしかない。

 社会党委員長だった村山富市氏を首相に担いだ自民、社会、新党さきがけによる連立政権は阪神大震災での無能ぶりを露呈。村山元首相は自虐史観に裏打ちされた村山談話を出し、日本外交の桎梏となっている。良識ある真の保守政治家ならば分かるはずだ。この愚を繰り返してはならない。(長野支局長 笠原健)
 
引用ここまで。
 
この支局長の何とも威勢のいいことに、あ然とする。
 
勝手に、国民全てが、自説に賛同しているかのようなかきっぷりは、自己陶酔の臭いがプンプンする。
 
こういった扇動によって、日本は戦争に突入し、大勢の無垢な犠牲者を出したことには、目をつぶるようだ、この御仁は。
 
要するに、この御仁、軍事国家になって、力の国際政治を断行せよ、と高らかに宣言しているのである。
 
そして、国民は、先の大戦のときと同様、ゴミくずのように扱われることには黙りを決め込んでいる。
 
公武合体を持ち出して、得意げなところが、この人物の浅はかさを象徴している。
 
歴史や政治の、ステレオタイプの言説を並べ立てているが、この程度の見識で、新聞社の支局長が務まることに、驚きを隠せない。
 
まあ、新聞社があそこだからか。
 
ああ、なんともはや、奇っ怪なことがあるものだ。