大学の死角

中央大学理工学部の教授が、大学キャンパス内のトイレで刺殺されてが、捜査は難航しいているらしい。

大学は、夜間でも、出入りが、結構、自由だったりして、また、実験室がある建物内には、多くの死角があるので、犯罪者には、都合がいいかもしれない。

以前、イスラム教関係の本を翻訳した筑波大学の教員が、大学内で刺殺されたが、あの事件も未解決のままだ。

筑波大学の事件は、その訳本がイスラム教を冒涜するものだという反発が起こり、著者に殺害予告があったりして、イスラム過激派のテロではないか、などと一時期騒がれたが、何の証拠も出ずに、いまに至っている。

夜中、大学で実験していると、照明が落とされた建物内で、暴漢に襲われても、どうすることもできないだろう。

助けを呼ぼうにも、どこに人がいるかわからないし、守衛室に連絡しても、広いキャンパス、すぐに駆けつけても、暴漢が本気なら、どうすることもできないだろう。

ましてや、警察を呼んで、となると時間がかかり、間に合わない可能性が高い。

中央大学の事件は、白昼堂々と、というところが、執念深さと、確固たる信念を感じさせる。

殺された教授は、評判のいい人だったらしく、他人から恨みを買うようなことは、思い当たらない、ということらしい。

とすれば、何かの見せしめに、直接関係もないのに、スケープゴートにされたことも考えられる。

中央大学にもめ事があるとは聞かないが、内情は漏れることは滅多にないだろうから、その筋から何かの情報を得ることは、かなり難しいだろう。

それにしても、若くして教授になり、これから、という矢先に、何とも無念なことか。

殺された教授は、学者一家で、大学教授を輩出する家系らしいが、その辺が、私のような一般人には、彼自身に無理はなかったのか、などとうがった見方をしてしまい、犯罪の臭いを感じてしまうのだが…。

いい人は、時として、その裏にいろいろなものを抱え込んでいるものである。

とくに、私立大学では、その大学の有力者のコネは絶大であることは、誰もが知っている公然の秘密である。

なぜ、あの人が教授に、という人事がたまにあると聞くし、その実例を、私自身も知っている。

あまりにいい人が犠牲になった今回の事件は、なんだか、裏があるような気がしてならない。

でも、大学内部のことや、研究上のトラブルに起因するなら、捜査するのが難しいかもしれない。

関係者は口をつぐむだろうから。