反日デモ

中国での反日デモの行方が不透明だ。
暴徒化した市民による日本人への攻撃がとても心配される。
命の保証のない中国旅行を呑気にしている場合じゃないだろう。

日本でも反米デモが吹き荒れて、多くの死傷者が出た時代があった。
デモに参加した女子大学生が死亡するという事件があった。
アメリカ大統領の来日を阻止したこともあった。
アメリカべったりの現在とはずいぶん違った時代だった。

中国当局のように、愛国無罪とは当時の日本政府は言わなかったが、
デモをやる者も、それを阻止する者も、同じ日本人である。そして、
敵国だったアメリカに反対するデモだ、警備当局は果たして、喜んで
警備をやったのだろうか。

最近、日本政府や右よりの議員は、国益という言葉をよく使うようになった。
国益を持ち出せば、国民が納得すると考えているのだろうか。
誰にとっての国益なのか、よくわからないときがある。

日本の文化や伝統を守ることと、国益を守ることが関連づけられて、論じられる場合もある。
真の日本文化と明治以後、西洋列強を模倣する過程で生み出された軍事色の強い促成の文化を、
我々日本人は混同していないだろうか。この明治以降つくられたにもかかわらず、
あたかも日本古来の文化あるいは伝統のように我々日本人自身が誤解している事柄に関しては、
司馬遼太郎氏の優れた考察をぜひ参照されたい。

真の日本の伝統、文化を世界は今注目しているのだ。
中国は我々見つめている。我々も中国を見つめている。
たまには、自分の国の行く末を、まじめに考えることも必要に思う。